負担もリスクもある中学の課外活動

 中学時代、運動部に所属していたのですが、顧問の先生が休んでしまうと代わりに来る先生は全く知識がないため、あまり実践的なことができないことがよくありました。さらに、次の年度には顧問の先生が長期休暇を取られたため、練習試合もあまり組めないこともありました。外からコーチが来て指導をしてくれれば、影響は最小限に済ませられたのではないかと当時考えていました。

 本日の読売新聞は一面で、政府が公立中学校の教員が休日の部活動を指導した際の手当てを約3年ぶりに引き上げることを決めたとを報じています。これにより、2018年から、600円アップの1日3600円になります。また、土日に部活動の休養日を設けるよう促す方針です。現在土日に部活動の休養日を設けていない中学校は4割を超えているため、少しは負担が軽くなることが予測されます。

 さらに「チーム学校」と呼ばれる、専門家が学校と連携することによって、教育の質を高めていく構想が文科省を中心として考えられています。その中にも外部の指導者に単独での指導や引率を行うことができる「部活動指導員」の制度化が提言されています。

 これらの背景には、教員の負担をできるだけ減らす必要があること、そもそも指導者が不足していることが挙げられます。
 
 部活動において、顧問の先生の役割はかなり大きいです。ただ部活動を管理するだけではなく、直接指導することも必要とされています。また、保護者・関係者への連絡、安全管理など多岐にわたります。ですが、すべて学校の課外活動であり、普通の先生としての仕事もこなさなくてはなりません。肉体的にも精神的にも負担はかなりのもので、現場からは「ボランティア精神で成り立っている」という声すら上がっています。

 そして、部活動をする側である、生徒にとっても必要な対策です。文科省の資料によると、10年間で起こった中学校での運動部活動における死亡・重度の障害事故の発生件数は、保健体育科の授業におけるものと比べて2倍近くなっています。競技内容が変わるため、この数字を単純に比較することはできませんが、リスクが高いことは確かです。少しでもなくすためには、指導者が常にチェックできる環境を整える必要があるのではないでしょうか。

 現在政府が検討しているものだけでは、負担が少し軽くなるだけで、抜本的な改革にはなりません。あくまでも課外活動であることを踏まえ、教育そのものに悪影響が出ない仕組みを考えるべきです。

参考記事
24日付 読売新聞朝刊(東京14版)1面(総合)「中学部活 教員の負担減」
文部科学省 「学校における体育活動中の事故防止について(報告書)」
(www.mext.go.jp/a_menu/sports/jyujitsu/__icsFiles/afieldfile/2016/06/23/1323968_1.pdf)