糸魚川の大火災 住宅からの出火にも注意を

 22日は全国で風の強い日でした。都内でも歩きづらいほどの風が吹き、夜には雨が窓を叩きつけて大きな音を立てました。今日はその強風がもたらした、糸魚川の大火災について考えます。

 震災を除き、過去20年で最も多くの建物を焼損させた火災となってしまいました。22日の午前10時30分ごろ、新潟県の糸魚川市大町の中華料理店から火が出ました。少なくとも約140棟に延焼し、午後8時48分に消し止められるまで、実に10時間以上が経過しました。

 避難のしやすい昼間だったこともあり、けが人が比較的少なかったのが不幸中の幸いです。それでも、多くの人が帰る家を失ってしまいました。写真からは突然の事態に困惑する様子が伝わってきます。

 歴史的に価値のある建物が多い地域でもありました。今回の火災で、雪国特有の雁木のある街並みや、古くからある酒蔵、昭和初期からの建物が多く焼失してしまいました。文化財の被害も甚大です。

 なぜ延焼を食い止められなかったのでしょうか。各紙によると、木造建築の密集した区域であったこと、強風が被害を拡大させたこと、地元の消防の規模が大きくなかったこと、これら火災の広がりやすい最悪の条件が重なりました。今後、木造の建築が密集している地域は、防火の見直しが必要になると思います。

 今回は飲食店が火元でしたが、住宅からの出火にも要注意です。朝日新聞に、過去20年の焼損面積2千平方メートル以上の市街地火災をまとめた表が載っています。1997年9月に飯塚市で発生した、飲食店を火元とする火災を除き、6件すべての火元が住宅です。タバコやコンセントなど、火災の起きやすい物の扱いには十分気を付けて、年の瀬を迎えてください。

参考記事:
12月23日付 朝日新聞朝刊1面『糸魚川大火 140棟延焼』
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