地元の声、しっかり聴いて

 ここ数日、新聞に載っている言葉は「韓国開催」、「被災地での開催」。いずれも2020年に行われる東京オリンピック・パラリンピックの一部会場についての記事です。「東京」で行われるはずだった世界一のスポーツイベントは一体どこで開催されるのでしょうか。

 国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長は、18日午後、東京都庁を訪問し、小池知事と2020年東京オリンピック・パラリンピックの競技会場見直しを協議しました。そして、バッハ会長は「都」、「国」、「大会組織委員会」、「IOC」の4者で作業部会を設置することを提案し、競技場見直しについて、IOCが直接関与していく方針であることを伝えました。さらに、19日に行われた安倍総理との会談では、野球・ソフトボールを筆頭に、複数の競技を被災地で開くことを提案しています。その理由について、バッハ会長は「復興に貢献したい。世界の人たちに、復興の進捗を示すことができる。」と語っています。

 被災地でも開催する提案ですが、野球・ソフトボールについては、福島県福島市、郡山市、いわき市の3市が招致をしています。また、すでに宮城県利府町ではサッカーの1次リーグが開催することが決定しています。

 ただ、地元の人たちの声が聞こえてきません。東日本大震災からすでに5年以上が経過しています。多くの人たちが、すでに震災を乗り越え、新たな生活をしています。当初の目的ではなかったはずの「復興五輪」です。地元の方がそれでもなお「復興」を前面に掲げてイベントをすることを望んでいるのかどうかを聞かずに、直接の関係のない「国」、「都」、「組織委員会」、「IOC」が開催地を押し付けるのはいかがなものでしょうか。

 もはや「東京」だけのものではない五輪。関係する人すべてが納得して催さなければ、せっかくの「平和の祭典」が台無しになってしまいます。

参考記事
19日付: 各紙朝刊 「東京五輪、会場見直し」関連記事