【特集】東京ゲームショウでVRを体験してみた!

  今月から復活しました、「特集」。学生スタッフそれぞれが、関心のあるテーマや、新聞記事を読んで「なぜだろう?」と思ったことを「取材して」、お伝えします(毎月、最終日曜日に掲載)。今回は「東京ゲームショウ2016」のルポをお届けします!

◇今年で20周年を迎えた東京ゲームショウ、4日間で27万人動員
  今月15日から18日まで、幕張メッセ(千葉市美浜区)で東京ゲームショウが開催された。今年で20周年を迎える同イベントは、計4日間で27万人1224人を動員。今回は、37の国と地域から過去最多となる614の企業や団体が出展し、半数は東南アジアや欧米など海外の企業や団体が出展していた。「VR(仮想現実)元年」と言われる今年は、VR技術を駆使したゲームが目立ち、来場者は各展示ブースに長蛇の列を作っていた。

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国内のみならず、海外からの報道陣も各展示ブースを訪れていた。

◇リアルな映像とバイクの動きで、「ゲームの世界に没入」
  筆者が体験したのはゲームセンター向けのレースゲームだ。台湾の企業「FUTURETOWN TOTALMOTION」が乗り物のバイク部分を、「MitFun」が映像やサービスを手掛けた。早速、目と耳を覆う専用のヘッドマウントディスプレー(HMD)を装着し、バイクにまたがる。右ハンドルでスピード、左ハンドルでバイクの向きを調整する。砂漠をイメージしたコースの映像がとてもリアル。バイクのサドル部分も動くので、実際にジャンプしたり、横に倒れたりしているような感覚になった。ゲームに慣れていない筆者にとっては運転が難しく、「ダイジョウブ?」と台湾人のスタッフが何度も助けてくれた。5分ほどで1レースが終了したが、体験を終えた後の数分間はまだゲームの世界にいるようで、車酔いした気分になった。VRの魅力は、視界をディスプレーで覆い、現実の景色を仮想の映像で置き換えることで、その映像の世界に自分が入ってしまったような没入感が得られることだ。ゲーム中は「本当に砂漠の道を走っている感覚」を味わい、VRだからこそ体感できる迫力に圧倒された。

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ゲームを体験する来場者。主に男性が列を作っていた。

◇VR・AR ゲーム業界のみならず、投資家も注目
  VRやAR(拡張現実)の可能性は、ゲーム業界のみならず投資家も注目している。SMBC日興証券株式調査部の前田栄二氏は、「(VRで)我々がどのように遊び、いかに産業につなげられるかが各業界の課題になるのでは」と話す。バンダイナムコエンターテインメント取締役CS事業部担当の冷泉弘隆氏は、「単なる流行で終らせず、今後どんどん力を入れて新たなゲームを生み出していきたい」と意気込む。

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会場には、数か所「フォトスポット」が。専用のアプリをダウンロードし、カメラを向けるとキャラクターが登場した。

◇日本マイクロソフト社「女子高生AIりんな、新サービス展開を検討中」
  すごいのはVRだけではない。「AIコーナー」には日本マイクロソフト社が開発した「女子高生AIりんな」のブースが目立っていた。既にLINEでサービス展開をしている、「りんな」。その名の通り「女子高生のAI」で、LINE上で友達追加すると、「トーク」が楽しめる。例えば、「今何してる?」と打ったら、「テレビ見てる」など返事がかえってくる。他にも恋愛相談に乗ったり、食事の献立を考えたりする。今回新しいサービスとして、「ラップを披露するもの」、自身の写真を撮って送信すると「ファッションチェックをしてくれるもの」が登場(両者とも配信時期は未定)。同社担当者の中里光昭氏は「これまで『りんな』は男性のユーザーに支持されてきた。今度は女子高生の間で流行しているラップや、関心を集めるファッションに着目し、若年層の方にもサービスを楽しんでもらいたい」と話した。

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ヘッドフォンを着けると、りんながラップを披露しているのが聴こえる。

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りんながファッションチェックをし、見た目年齢までチェックしてくれる。

◇各国で拡大するゲーム市場 今後の新コンテンツに期待
  国内外のゲーム・エンターテイメント市場の最新動向を分析したデータ年鑑『ファミ通ゲーム白書2016』によると、2015年の世界ゲームコンテンツ市場規模は前年比約25%増の8兆2,667億円だったと推定されている。主な地域別では、アジアが3兆4,711億円、米国が2兆1,982億円、欧州が1兆8,144億円。いずれの地域でも前年より市場規模が拡大していることが分かる。今後、どのように市場が拡大していくのか。異業種の参入はあるのか。そして、どのようなゲームが私たちを魅了するのか。とても楽しみだ。

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出典:『ファミ通ゲーム白書2016』

※写真は全て筆者撮影。(9月16日、千葉市美浜区にて)

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