ミャンマーで並ぶ、日本の生ビール

全国で梅雨も明け、暑い日々が続いています。毎日暑いのは、日本も東南アジアも同じこと。雨季のまっただ中、蒸し暑い日々が続くミャンマーでは、外資メーカーによるビール競争が熱を帯びているようです。デンマークのカールスバーグやオランダのハイネケンは、2015年にミャンマーで現地生産を始めました。ハイネケンはミャンマー独自ブランド「リーガル・セブン」を投入。「プレミアムブランドで首位」を目指し、年内に約1千万ドルを投じ工場の生産能力を現状比4割増しの年45万キロリットルに引き上げるそうです。

では、日本メーカーの参入はどうなっているのでしょうか。キリンホールディングスは昨年8月、シェア8割の地場最大手、ミャンマー・ブルワリー(MBL)を買収し、旗艦ブランドの「一番搾り」などを相次ぎ投入して攻勢をかけています。さらに昨秋には新製品の第1弾である黒ビール「ブラック・シールド・スタウト」や麦芽100%の独自ブランド「ミャンマー・プレミアム」も投入しています。それらは地場ブランドの価格の2倍ですが、富裕層に関心を持たれたり、滑らかなのどごしのプレミアム感で好評のようです。

今日、日本のビール売り場をのぞいてみると、こだわりを持って作られたプレミアム感の高い生ビールから、廉価な発泡酒、さらには健康に気を使い糖質やカロリーを抑えたものまで幅広く売られています。また、ドライバーや健康志向に向いたノンアルコールビールも最近多く見られるようになりました。ニーズの多様化に機敏に対応する日本メーカーの強みが、ここに現れているのではないでしょうか。

「ミャンマーでは失敗できない。今までより相当な準備をして臨んでいる」。キリンホールディングスでグループ経営戦略を担当する小林肇主幹は強調しています。日本のビール市場は1994年をピークに減少傾向が続き、海外展開は不可欠になっています。ミャンマーのビール市場は5年で2.5倍になると予測されており、現在は成長段階のようです。しかし、これから成長が続けばビール市場の伸びはある程度鈍くなるかもしれません。そのとき、現在日本で見られる幅広いニーズが生まれることでしょう。日本メーカーの腕の見せ所は、そこからかもしれません。まだまだ先の話のような気がしますが、そんなミャンマーの未来に思いを馳せながら飲む今日の一杯もまた、美味しいことでしょう。

参考記事:3日付日本経済新聞朝刊(東京13)「ビールミャンマーの陣」