夢乗せて青空舞う日、待ちわびる

2015年のハッピーニュースと言えば、皆さんは何を思い浮かべますか。私は、「MRJの初飛行」が頭に浮かびます。幼い頃から家族でよく航空ショーを見に行っていたこともあり、「飛行機」への憧れが強かったからかもしれません。三菱航空機が開発を進めている国内初のジェット旅客機「MRJ」の初飛行の様子をニュースで見て、とても嬉しく思いました。先月開かれた伊勢志摩サミットの前には、中部国際空港でお披露目され、各国首脳に日本の技術力をアピールしました。

そんな「MRJ」の量産工場が7月上旬にも稼動し、年末年始までに初号機を組み上げるそうです。2017年から月1機程度のペースで生産する予定で、試験飛行を続けて国内の型式承認を得た後に、18年半ばにも初号機をANAホールディングスに納入する見通しです。さらに、20年から月10機の量産を目指します。一見すると順調なテークオフのように映りますが、実は計画より4年も遅れています。納入延期は累計で4回にも及びました。

気になるのは世界のライバルたちの動向です。ブラジルのエンブラエル「Eジェット」ファミリー、カナダ・ボンバルディアの「CRJ」ファミリー、そしてMRJと同じく新規参入組の中国商用飛機有限公司(COMAC)「ARJ21」と、ロシア「スホーイ・スーパージェット100(SSJ-100)が世界市場を狙っています。

中でもエンブラエルが開発する新型機は、初号機の引渡しを20年に予定しており、もしMRJの開発が遅れれば航空会社の発注もそちらへ流れてしまう恐れがあります。今日の記事のすぐ隣にある「ボンバルディア ANAが発注」という見出しが目に留まります。ANAホールディングスはボンバルディア製の小型旅客機「DHC-8-Q400」3機を発注したとあります。地方路線では「MRJ」を導入する予定でしたが、開発が遅れており、Q400を追加することにしたようです。

“MADE IN JAPAN”の飛行機が空を舞う日を思うと、胸が躍ります。同時に、開発の遅れでチャンスを逃してしまうのではないかという不安も入り混じります。さらなる納入延期が現実味を帯びれば、MRJに期待を寄せていた人々もがっかりするでしょう。関係する会社への打撃も計り知れません。旅客機でまた「ミツビシ」の名を世界に誇れるようにと切に願います。それは自動車事業での汚名返上にもつながるでしょう。

参考記事:

30日付 日本経済新聞朝刊(大阪13版)13面(企業総合)「MRJ量産工場、来月稼動 来年から月産1機」,「ボンバルディア ANAが発注 小型旅客機3機」

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5月24日付 日本経済新聞夕刊(名古屋・社会面)「MRJ、中部空港に、首脳らにお披露目」