そもそも例外とは何ですか。

本日は夏至です。一年で一番、陽が長い日です。明日からは陽が短くなっていきますが、暑さは増していくことでしょう。始まったばかりなのにこれだけ暑いこの夏を、皆さんはどう過ごしますか。

原子力規制委員会は20日、運転から40年を超える関西電力高浜原発1,2号機について60年までの運転延長を認可しました。運転期間を原則40年に定め、例外的に最長20年延長できるとした新制度のもと、延長が認可されたのは初めてです。延長するには、通常の原発に課される審査に加え、設備の劣化状況を調べる「運転延長」の審査を期限内に通過する必要があります。このことで二つ疑問に思うことがあります。

一つは期限が7月7日に迫っての認可であるということです。期限に間に合わせるために、規制委はこれまでに、先に申請を受けていた九州電力玄海原発の審査を後回しにしたり、重要機器の耐震性の確認を工事完了後に先送りしたりしてきました。どうも強引すぎるように思えてなりません。どこかに無理が生じていれば、後に事故や問題につながるかもしれません。

二つ目は、早々に例外である延長が認可されたことです。一体、例外とは何なのでしょうか。そこが理解できません。 例外が認められるということは、原発の稼動で大きな利益を得ることができる電力会社にとっても、安定供給が確保できる政府にとっても好都合でしょう。しかし、福島第一原発の事故を受けて導入された新規制基準の目的はあくまでも国民の安全が第一であるはずです。

規制委の田中委員長は会見で「『原則』とか『例外』とかは政治的なメッセージ。原発を減らすかどうかは社会が決めること」と述べています。安全性を保つことが出来る規制委であるにも関わらず、どこか他人事のように聞こえるのは筆者だけでしょうか。

こうなったら、社会が判断しなければならないのかもしれません。原発で作られた電力を使うのも国民であり、万が一の時、不利益を被るのも国民です。一筋縄では行かない問題に当事者である私たちは突き詰めて考えなければなりません。この夏、冷房の温度を下げるのも上げるのも私たちですから。

参考記事

21日付 各紙 「高浜原発延長認可」関連面