若者の脱・貧困

 今月17日、参院本会議で選挙権年齢を従来の20歳以上から18歳以上に引き下げる改正公職選挙法が全会一致で可決され、成立しました。夏の参院選から適用され、18、19歳の約240万人が新たに有権者になりました。将来の進路を選択する選挙権年齢が拡大されたことで政治を知る機会が多くなったことは今の若者にとって大きなメリットです。

  その一方で、政治に興味や関心を持つどころか、不安を募らせている若者が数多く存在することも事実です。その理由の一つが奨学金事情です。日本での若者の貧困率が上昇し続けていますが、奨学金は返済が必要なものが大半です。そのうえ、申請しないと受けられないため、進学どころか将来の夢まで諦めるといったケースが少なくありません。

  私の高校時代の友人もイラストレーターになる夢を抱いていましたが、「貧困に加えて、社会に出ると同時に借金返済に追われる生活などまっぴらだ」と言い、憧れを捨てて仕方なく就職の道に進みました。

 「もしあの時、返済不要の借金があったらどんな人生を送っていたのだろう」

  当時を振り返る友人の言葉を聞いて、大学に通っている自分がいかに恵まれているかを改めて実感しました。

  記事によれば、参院選の公約のなかで、与野党は競うように返済不要な「給付型奨学金」をアピールしています。また、公益財団法人「あすのば」学生理事の工藤鞠子氏のように、貧困に悩む学生の声を直接聞いて支援するといった活動も目立つようになりました。

  日本の政治は不安定で複雑なところが多く、だからこそ若者には興味、関心が湧きづらいかもしれません。奨学金による負担を軽減させ、貧困に苦しむ若者を救う取り組みを社会に広めることは、政治が身近なものであることを感じてもらう第一歩であると考えます。

 20日付 14版 39面 社会 日本経済新聞 「18歳の選択 2016参院選」


 

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