喫茶の変遷 お茶の歴史を学ぶ

5月1日、新橋駅近くにある旧新橋停車場内にお茶の文化創造博物館「お~いお茶ミュージアム」が開館しました。ここではお茶の歴史や製造法、人々が飲み続けた理由や背景について学ぶことができ、人気商品「お~いお茶」の誕生秘話も見ることができます。

お~いお茶ミュージアム(5月3日、筆者撮影)

お茶は遣唐使によって日本によって伝わったと言われています。平安時代の史書「日本後記」では嵯峨天皇が口にしていたとされており、鎌倉時代にはさらに抹茶が広まりました。臨済宗の開祖である栄西が中国から帰国する際にお茶の種子を持ち帰り、栽培したといわれています。栄西が著した「喫茶養生記」には種類や製法、効能などが記されています。その後、華厳宗の僧である明恵にお茶の製法が伝わり、京都の栂尾地域で日本最古といわれる茶園が開かれました。

室町時代にはお茶を飲み分け、産地などを推測する「闘茶」という遊びが流行したそうです。後に、足利義満が茶園を開かせた宇治がお茶の産地として知られるようになり、お茶を楽しむ風習は国内に浸透したと言われています。安土桃山時代、豊臣秀吉が開催した北野大茶湯では身分にかかわらず多くの人々が参加できました。その後、侘茶を村田珠光が創出し、それを受け継いだ竹野紹鷗、さらに千利休が完成させました。

 

筆者が訪れた3日は大型連休中だったこともあり、多くの人で賑わっていました。館内は9つのコンテンツに分かれています。入ってすぐに掲げられている茶畑からお茶になるまでの工程が目に入りました。さらに「お~いお茶」の歴代ラインアップが展示されています。味や容器の形、色などが人々の暮らしのなかで変化していることが分かり、長い時の流れを感じることができました。

博物館ではお茶の歴史を学ぶだけでなく、茶道具なども見学でき、茶葉をすりつぶす薬研や粉末にするための茶臼を使用して粉末にする体験もできます。薬研は刃を回転させるのに思いのほか力がいりました。全国の茶畑がスクリーンに映し出されており、各地で生産されていることを実感できます。

展示されていた茶道具の一部(5月3日、筆者撮影)

お茶が高価なものであった時代から当たり前のように人々が飲めるようになるまでの時代の流れをじっくりと学べたことで、日常的に飲んでいるお茶の魅力を更に実感した一日でした。

 

参考文献:

2024年4月23日付 読売新聞オンライン 「お~い茶ミュージアム」旧新橋停車場に5月1日オープン…茶道具や歴代パッケージ展示

https://www.yomiuri.co.jp/economy/20240423-OYT1T50157/

 

参考資料:

TOP | お茶の文化創造博物館,お〜いお茶 ミュージアム

https://www.ochamuseum.jp/