東京パラリンピックを盛り上げよう

今朝の朝日新聞には、皇室と障害者スポーツの歩みが紹介されています。1964年の第2回東京パラリンピックは、当時国内で障がい者への理解が乏しい中で、今の天皇、皇后両陛下が開催の機運を高め、実現しました。大会には戦争で負傷した元軍人も出場しました。開催中は皇族が積極的に足を運ばれ、「戦禍から新しい平和な日本をつくるシンボル」となりました。

「このような大会が、国内でも毎年行えれば」という両陛下のお言葉もあり、東京パラリンピックの翌年に全国身体障がい者スポーツ大会が開催されました。その後、競技人口は格段に増え、パラリンピックの競技の幅も広がって、障がい者スポーツは現在に至るまで発展を続けてきました。

では、皆さんは障がい者スポーツをみたことがありますか。

まだまだ国内では認知度が低いと言われています。背景にはやはり、メディア露出の低さがあります。筆者自身もこれまでオリンピックに比べ、パラリンピックをテレビで観戦する機会は少なかったように感じます。今後は新聞やテレビなどのマスメディアに加え、SNSなども生かして情報の発信力を強化していくべきです。まずは多くの人に知ってもらうことで、ファンや障害者スポーツに携わるボランティアの増加につなげていく必要があります。

筆者は先日、実際にパラリンピックを経験された方からお話を聞く機会がありました。その方は「障がい者スポーツを一つのジャンルとして見てほしい」と語ってくださいました。選手たちは、数々の挫折や大きな絶望を経験し、それを乗り越えてきました。壮絶な人生の軌跡を取り上げられることが多くあります。でも、そうではなくて一つのスポーツ、一人のアスリートとして見てほしい。そんな切実な声があります。海外では健常者スポーツと障がい者スポーツが同じ大会で開催されることもあるそうです。

障害の有無を超えて、スポーツを楽しむ社会を作る取り組みが必要です。私たちは東京開催の2020年に向けて、オリンピックとともにパラリンピックを盛り上げていかなければなりません。現在、実際にアイマスクを装着して行うブラインドサッカーの体験会や、パラリンピック出場選手の講演会など多くのイベントが開催されています。今年行われるリオネジャネイロ・パラリンピックをテレビ観戦したり、記事を読んだりする機会もあるでしょう。まずは身近に障がい者スポーツに触れ、興味を持ってみませんか。

 

22日付け 朝日新聞 朝刊 14版 35面 「障がい者スポーツ 扉開いた」