言語の多様性 どう守る?

スペインでは、カスティーリャ語およびスペイン語にも、カタルーニャ語、バスク語、ガリシア語など複数の言語が話されています。私が滞在するバレンシア州では、バレンシア語が州の公用語に指定されています。留学先の大学でも、キャンパス内の案内はバレンシア語で表記されており、私が受けている三つの講義の内の一つはバレンシア語で行われています。また、地域の子どもたちが通う学校では、基本的にバレンシア語を用いて授業が行われているのです。スペイン憲法の第3条において、カスティーリャ語およびスペイン語を国の公用語としている一方で、そのほかの言語にも高い地位が与えられています。

日本ではどうなのでしょうか。日本語が公用語であるように思われますが、実際には憲法の条文で規定されてはいないのです。しかし、日本におけるアイヌ語や沖縄方言は、消滅の危機に瀕しており、スペインとは状況がずいぶん異なるように感じられます。憲法で公用語が規定されていない分、日本語以外の言語も話されるのではないかと思ったものの、明文化する必要もないということなのでしょうか。私にとっては、意外な事実でした。

私はスペイン・バレンシア州に住むのなら、そこで話されている言語を少しでも理解したい、そこの文化や歴史にリスペクトを示したい。そんな思いから、バレンシア語のコースを受講しました。日本では、たくさんの言語・方言が絶滅に瀕しており、ユネスコの発表によると、とくにアイヌ語は極めて深刻な状況にあるようです。生まれも育ちも愛知の私にも、知らない尾張弁の言葉は多くあります。

言語の多様性、豊かさを守るために私たちができることは、自分の住んでいる地域に関心を持つと同時に、敬意を払うことなのではないのでしょうか。今は少しずつバレンシア語を学んでいけたら、と思います。

参考記事:

消滅の危機にある言語・方言 | 文化庁 (bunka.go.jp)

法律と国語・日本語|参議院法制局 (sangiin.go.jp)

Lenguas cooficiales (mpt.gob.es)

Lengua oficial | Organización territorial (Bachillerato) (ign.es)