「あなたも誰かのサンタクロース。」 本にのせ、想いよ届け

20人が毎月400冊を超える新刊本に目を通し、紹介する本を選ぶ…

読売新聞で、読書委員が「今年手に取った、これぞと思う3冊」を選ぶ企画が掲載されました。作家や研究者などそれぞれの分野のパイオニアたちが集結しているだけに、選出された本は小説やマンガ、人文書、学術書など多岐に渡ります。

普段であれば読みそうにない本でも、委員のコメントに惹かれて読んでみたいと思わされ、不思議でなりません。

朝日新聞や日経新聞でも同様に、書評担当者が今年の3冊を選ぶ企画を行っていますが、どの担当者も、気合を入れて今年を色濃く映し出す本を選んでいる様子が感じられます。

 

皆さんが今年の3冊を選ぶとしたら、どんな本にしますか?

 

自分が今年読んだ本を振り返り、年末年始にどんな本を読むかに考えを巡らせてワクワクする一方で、「本の値段の高さ」にもつい注目してしまいました。紹介されていた本の中には1万円を超えるものもあったからです。

専門的な学術書や発行部数の少ない書籍となれば値段もかさむのは理解できますが、大手出版社から出されている小説の値段も、心なしか上がっているように感じます。

そこで各紙で2023年の本として紹介されていた書籍の平均価格を調べてみたところ、読売新聞が約3,100円、朝日新聞は約2,900円、日経新聞は約2,300円でした。

 

では、販売される書籍の価格は、実際に高くなっているのでしょうか。

 

新刊書の本体価格(税抜き)の平均は、2022年に1,268円となりました。価格の上昇は11年連続で、前年から2.2%上がっています。文庫本に限っても、平均価格は732円(2021年)となっており、2001年の587円と比較すると約25%上昇しています。

これらは出版不況やウクライナ侵攻によるエネルギー価格の高騰、円安によるコストの上昇を反映しているといえます。

一方、そのような状況でも、根強い人気を誇るのが絵本です。新刊の平均単価が10年間で9%上昇しているのにも関わらず、推定販売金額は18%増加しています(2021年/出版科学研究所)。

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NPO法人「チャリティーサンタ」(東京都千代田区)では、プレゼントを用意するのが難しい家庭に、サンタクロースからのプレゼントとして絵本などを贈る「ブックサンタ」という活動を続けています。「ブックサンタ」は2017年に書店と連携して始まりました。

本を贈りたいと思った人が賛同する書店で購入し、ブックサンタ運営事務局に預けると、困窮家庭や児童福祉施設、子ども支援団体に届けられます。7年目である今年は全国1683店舗の書店に加え、オンライン書店やクラウドファンディングを通じて届けることができます。

チャリティーサンタでは、本のプレゼントだけでなくイブにサンタクロースが家庭を訪問したり、手紙を届けたりと、クリスマスを楽しく過ごすためのプロジェクトを行っています。

 

クリスマスが今年もやって来る

悲しかった出来事を

消し去るように

竹内まりや『すてきなホリデイ』(2001)

 

ブックサンタでは、購入する本として「プレゼントとして楽しめる本」を薦めています。1年に1度のクリスマス。受け取る子どもたちにとっても、一生の思い出となるでしょう。本を贈る側も、「これぞ」と思う本を選ぶのに気合が入りそうです。

どんな家庭であれ、この特別な日を楽しみ、素敵な思い出として記憶に残るような時間を過ごせることを願います。

 

【参考記事】

2023年12月24日付 読売新聞朝刊[東京12版]24、25面『よみうり堂 本 「読書委員が選ぶ「2023年の3冊」「本は人を作る」実感』

2023年12月23日付 朝日新聞朝刊[東京13版S]24、25面『胸高鳴る出会い 来年も 書評委員19人の「今年の3点」』

2023年12月23日付 日経新聞朝刊 28面「回顧2023 私の3冊」

2023年11月18日 朝日新聞デジタル 『誰かの「サンタさん」になりませんか?NPOが本の寄付を呼びかけ』

2023年4月8日付 毎日新聞「新刊本の値上がりが加速 11年連続上昇、印刷・輸送コスト膨らむ」

2022年9月29日付 日経新聞朝刊 19面「大人も夢中、絵本9%上昇 作りに工夫、新刊平均1259円、芸術性魅力、題材も多様化(価格は語る)」

 

【参考資料】

書籍販売額 | 出版科学研究所オンライン (shuppankagaku.com)

ブックサンタとは – ブックサンタ公式ホームページ (charity-santa.com)