その119、本当に必要?

7月とは思えないほどの暑さですね。最近SNSを見ていると、緊急車両が走行している旨の投稿が増えたように思います。そんな中、本日、区の防災メールで「救急車ひっ迫アラート」が届きました。救急要請が増加して非常用小隊の編成が必要となる場合など、救急出場体制の運用が厳しくなっていることを伝え、救急車の適切な利用を強く訴えかけるものです。

東京消防庁によると、令和4年中の救急隊の出動件数は前年より12万8372件増え、87万2075件だったそうです。また、緊急搬送された人のうち、入院する必要のない軽傷や軽症と判断された割合は53.4%を占めます。半数以上が自力で病院に行ったならば、救急車ひっ迫アラートは発令されなくて済むでしょう。中には「蚊に刺されてかゆい」、「病院で長く待つのが面倒なので呼んだ」などという信じがたい人もいます。このままでは緊急性が高い人の対応ができず、最悪の場合、命の危険につながりかねません。

日本は救急車を呼ぶのに料金はかかりませんが、海外では有料の国が少なくありません。米ニューヨーク市では市消防局に依頼すると5万円程度、フランスのサン・ドニ県ではSAMUと呼ばれる心肺停止時や公共性の高い場所以外での依頼だと3万4千円程度、ドイツのミュンヘン市では6万7千円ほどかかると言われています。スウェーデンは基本無料で呼べますが、病院へ行く必要のない状態だと「いたずら電話」とみなされ、罰金が科されることもあります。日本も救急車1回の出動で4万5千円程度の税金が使われていると推計されています。不要不急の出動要請は財政を圧迫しています。

夏場は熱中症の危険性があります。熱中症になった人を処置するなら、まずは風通しの良い日陰や、クーラーが効いている室内などに避難させましょう。水分や塩分を補給させ、氷やアイスパックなどで冷やしましょう。そのうえで呼びかけに応えない場合などは救急車を呼ぶ必要があります。

熱中症による救急搬送の人数は気温が高い日が続いたときや、梅雨明け後に増えるとされます。今年度の関東甲信の梅雨明けは7月19日頃と予想されています。まだ体が夏の暑さに慣れていないため、熱中症対策を心掛けながら注意して過ごしましょう。本当に必要としているところに急行できるように、救急車を呼ぼうとするときには、本当に必要なのか一度考えたうえで、行動する必要がありそうです。