ブルートレインたらぎ乗車記 多良木町での充実した一日

先月、筆者は熊本県多良木町にある「ブルートレインたらぎ」に宿泊しました。2009年3月に廃止された寝台特急3両を多良木町が購入し、リニューアルした簡易宿泊施設です。当時の寝台特急の雰囲気を気軽に楽しむことができます。この記事ではブルートレインたらぎでの、充実した一日を報告します。

今回泊まったのはB寝台ソロでした。ほかにも開放型B寝台に宿泊するプランもありました。客室はベッドと折り畳み式のテーブルがありこぢんまりとした雰囲気です。ベッド上のボタンで照明のオンオフが切り替えられました。レトロな照明がぼんやりと光って癒されます。防音性はなく、ほかの客室や廊下での声がはっきり聞こえましたがそこまで苦ではありませんでした。

ブルートレインたらぎの客室。B寝台ソロ。

部屋で休息を取った後、シェアサイクルを利用して多良木町内を散策することにしました。宿泊客は1日300円で利用できてお得です。のどかな農地を自転車で駆け抜けるのはどこか懐かしく清々しい気持ちになりました。球磨川沿いのサイクリングロードを漕ぐのも楽しかったです。途中カフェでの休憩をはさみましたが、約2時間の探索で4箇所の寺社を巡ることができました。町内に多くの寺社があるのは鎌倉時代に相良氏が治めていたことが関連しているそうです。

青蓮寺阿弥陀堂。上相良三代頼宗が創建したと伝えられている。

自転車を返した後は夕食を食べに多良木町商店街に。サイクリング中に美味しそうな居酒屋を見かけたので、そちらに伺いました。期待通り、お料理は美味しく、観光客の筆者にも温かく接してくれた素敵なお店でした。入浴は施設から徒歩1分圏内にある多良木町ふれあい交流センターえびすの湯を利用しました。サウナ、内湯、露天風呂があり、旅の疲れを癒すことができました。駐車場に鎮座しているえびす様は印象的です。

就寝時に客室の電気を消すと本当に寝台列車に乗車しているようでした。隣の道路を走る自動車の光が窓から漏れると列車が動いているのかと錯覚してしまうほどです。ブルートレインたらぎでの一日は、3140円という実際に寝台列車に乗車するよりもはるかに手ごろな価格で利用できたうえ、とても有意義な時間を過ごせました。現在、国内で定期運行している寝台列車はサンライズ出雲・瀬戸のみです。残念ながら増発は見込めず寝台列車に乗車した経験がある人も少なくなっていくのでしょう。ブルートレインの宿泊施設は北海道、岩手県、香川県、熊本県の全国4箇所にあります。寝台列車での非日常体験を味わうためにこれらの宿泊施設を利用してみませんか。