タイパが重視される現代だからこそ。

先日、授業もアルバイトもなかったので、少し興味があったNHK放送局を見ようと原宿に向かいました。若者の街として有名ですが、放送局までの道のりで、意外にも幅広い年齢層の方々が集まる場所を発見しました。その一部をご紹介します。

まず目に入ったのが代々木体育館。この日はアイドルのライブが開かれており、終日賑わっていました。原宿の近くに代々木があることも知らなかった筆者は、代々木体育館があったことだけでも驚きました。

 

 

 

次に代々木公園。

春ということもあり、たくさんの花が咲いているうえ、木々もどことなく輝いて見えました。都心はビルが林立しているイメージだったので、広い公園は意外でした。公園での散歩は考えてもいなかったのですが、自然を浴びたい気分でした。そこで少しの時間ですが散策を楽しみました。外国人観光客や春休み真っ只中の学生、老夫婦や若いカップルなど幅広い人々が時を過ごしていました。筆者自身も久々に公園に足を踏み入れ、心がとても安らぎます。

 

さて話は変わります。皆さんは「タイパ」という言葉をご存知ですか?

タイムパフォーマンスの略で、時間対効果のことを言います。

コスパと略されるコストパフォーマンスは費用対効果のこと。その類似語と言えるかもしれません。近年では、この「タイパ」が重視されるようになっています。

4月14日(金)の朝日新聞朝刊では、東京ディズニーランドでのタイパの試みが紹介されています。かつてはアトラクションごとにファストパスというものがありました。近くにある発券機で手に入れて指定された時間に行くと、そのアトラクションの待ち時間が大幅に短縮できるという優れものです。しかし、コロナ禍により廃止を余儀なくされました。明確な理由は不明ですが、発券する際に列ができてしまうことで密になってしまう、様々なアトラクションのファストパスを取って長い時間滞在する人が多くなってしまうことを防ぐため等と推測されています。ファストパスの代わりにディズニー・プレミアアクセス(DPA)が設けられました。これはファストパスと違って1つのアトラクションや施設につき、2000円/回と、有料なことに加え、時間を指定できます。

プレミアアクセスなら待ち時間を短くできるうえ、利用する時刻が指定できるので、限られた時間に利用できるアトラクションの数が増えます。園内での過ごし方が大きく変わってくるはずです。これこそ、まさにタイパ向上の好例でしょう。

ここで考えたいのがタイパを重視しすぎた結果、失うものもあるのではないかということです。インターネットや電子機器が発達していない時代から見れば、現代は紛れもなくタイパが良くなっています。調べたい情報があればインターネットですぐ検索できるし、友達と直接会わなくても会話が可能です。

一方で、情報を調べるための過程や友達と直接会うという行為が技術に頼ることで抜け落ちます。本や雑誌で調べるときは、求めている結果に辿り着くまでにも様々な情報に出遭います。言い方を変えるならば、調べたいことにプラスして、周辺知識を得ることができます。タイパを求めた場合、知りたい情報は得られたとしても、調べることに付随したはずの知識はないに等しいでしょう。

これは最初に取り上げた話にも通じます。

もし、タイパを重視したなら、目的地以外は素通りするでしょう。極論すれば、家にいたまま、Googleマップのストリートビューで放送局を見て終わらせることも可能なのです。私がわざわざ寄り道までしたのは、タイパが重視される時代だからこそ、時間をかけて歩いてみて様々なものを感じたいと思ったからです。

散歩のおかげで、ビルがたくさんある大都会にも自然を感じられる場所があったこと、若者だけでなく、外国人や老夫婦ら幅広い国籍、年代の方々が原宿を訪れるということを発見できました。

気持ちに余裕がなくなったり、焦りが生じたりしているときこそ、時間をかけて小さなことを発見することが何かにつながるのではないでしょうか。

参考記事

4月14日(金)朝日新聞 7面

お金を払ってでも「タイパ」の魔法 コロナ禍が変えたニーズ 優先パス 有料化

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