バイトだけではない学生の働き方 フリーランスという選択肢

3月23日の読売新聞オンラインでは有隣堂書店のユーチューブチャンネルが紹介されていました。書店員が担当する商品の良さを高い熱量で発信しているのが面白く、筆者もチャンネル登録をし、すべての動画を閲覧しています。とくに好きなのはインクの紹介です。「文房具王になり損ねた女」こと文房具バイヤーの岡崎さんがニッチなインクを多数紹介してくれる人気シリーズで現在パート5まで投稿されています。筆者自身、万年筆が好きなため動画内で紹介されるインクをついつい購入してしまいます。

横浜が拠点、中規模書店の有隣堂でも、ネット上ではチャンネル登録者数20万超えという有名な存在になりうるのがネットマーケティングの魅力です。テレビCMなど多額の広告費をかけなくても幅広い層に認知されることができます。ユーチューブ初期は個人がエンタメ動画を、企業は商品の紹介のようなPR動画を投稿するというのが一般的でした。しかし最近は有隣堂のように企業がエンタメ動画を投稿するのも主流になりつつあります。

有隣堂以外のお気に入りは「テレビ朝日映像撮影部」です。こちらはテレビ朝日の子会社の社員が、テレビで使われるようなプロ仕様のカメラを紹介したり、素人でもプロっぽく撮影する方法を紹介したりと目からうろこの情報を発信してくれます。また、新卒採用で就活生の認知度を高めることを目的にユーチューブを活用している例もあるようで、企業の動画戦略は都会に限らず地方においても重要視されています。

コンテンツが伸長を続けるなか、動画人材の需要は日々高まっています。撮影や編集などは素人には難しく、供給が需要に追いついていません。このため単価が高い仕事が多く、好条件で働けるそうです。筆者が通う明治大学でも動画編集のフリーランスとして働く方がいました。彼は業務委託という形で企業の仕事をしています。動画の撮影から編集納品まですべてを一人でこなすのですが、二ヶ月で40万円程度、時給にならすと4000円ほどの収入になります。学生の労働としてはかなりの好条件であるといえます。また、手に職をつけることができるため将来その道で食べていくこともできますし、仕事を受注し納品し報酬を受けるまでの一連のフローを学ぶことは、別の仕事においても生きる経験です。彼は4月から動画制作とは関係のない業種で働きますが、入社後も副業として続けるそうです。

動画に限らず、学生のうちからフリーランスとして働くことは次第に一般的になっています。東京大学教育学部2年の男性はプログラマーとして企業からの発注を受けています。企業からの仕事を見つけるうえで使っているのが「fiverr」というサイトです。fiverrは海外のサイトであるため案件も国外からのものです。あえて海外のサイトを使うのは発注の件数が多いだけでなく、アメリカのほうが労働単価が高いこともあります。日本にいてアメリカの仕事を受ければ、現地での物価高とは無縁で高報酬を手にすることができるわけです。

先方とのやり取りはもちろん英語ですが、翻訳サイト「Deepl」や文章校正サービス「Grammarly」を使えばメールで問題なく連絡をとりあえます。Fiverrにはプログラミングの他に動画制作やイラスト制作といった案件も多くあります。気になる方はぜひ調べてみてください。

間もなく新学期です。多くの新入生が大学にやってきます。入ったらまずはバイト探しというのが定番ですが、長い学生生活の中で手に職をつけフリーランスとして働くというのも有力な選択肢ではないでしょうか。

参考記事

読売新聞オンライン「毒舌キャラが「地方の弱小書店」と呼び人気…有隣堂ユーチューブ、登録者22万人突破」

https://www.yomiuri.co.jp/culture/20230323-OYT1T50140/

fiverr

https://www.fiverr.com/