海賊版サイトを撲滅するために ジャンプ+の更なる普及を

最近、夢中になっているものがあります。「少年ジャンプ+」です。アプリやウェブで漫画を読むことができるサービスで、連載作品は初回無料で読むことができます。ジャンプ本誌も月額980円で毎号読むことができ、紙で毎週購入するよりもお得になっています。手軽さと作品の面白さで人気を集め、月間読者数はアプリとブラウザを合わせて1300万人を超えます。

ジャンプ作品に興味はありつつも、最初にハマったONE PIECEを100巻買い集めるのに精一杯でなかなか他の作品には手を出せずにいました。そんな中で出会ったジャンプ+。気軽に楽しむことができるため、夜な夜な素敵な作品を読み漁っています。

雑誌を買うのは少しハードルが高かったため、定期購読で元々大好きなONE PIECEや呪術廻戦の最新話を読むことができるのは幸せです。毎日の連載も面白い作品が溢れています。インディーズ作品から、チェンソーマンやSPY×FAMILYなどの大ヒット漫画まで全て無料です。筆者が今ハマっているのは「レンタル105」という作品。霊に身体を貸すことができる霊媒師の少年・透吾を中心とした物語で、透吾を媒介とした霊と、遺族の絆に毎話涙が止まりません。

日本にとどまらず世界中で人気を集める漫画ですが、業界が長年抱えている問題があります。海賊版サイトです。2016年ごろ開設された海賊版サイト「漫画村」は漫画や雑誌7万巻以上を無断掲載し、被害総額が3200億円に及んだことで当時社会問題になりました。少年ジャンプ+には、デジタル版の市場拡大のほか、広告収入を活用し、正規版を無料で閲覧できる環境を作ることで海賊版コンテンツを撲滅する狙いがあります。しかし、未だに海賊版サイトのアクセス数は減らないどころか、2021年には日本国内からのアクセスが「漫画村」最盛期の4倍に及んだと言います。月間4億回を越え、ジャンプ+の月間読者数を大幅に上回っていました。2022年には半減しましたが、それでも月2億回アクセスされています。

海賊版を読めば、作者に入るはずだった売り上げがなくなります。正当な対価を払わないことで良い作品の誕生や継続を阻んでいます。ネットで気軽にアクセスできる分罪悪感は低いのでしょうが、やっていることは万引きやひったくりと変わりません。

海賊版サイトにアクセスする人に漫画ファンを名乗る資格はありません。しかし、少なからず漫画を好きだという気持ちはあるはずです。不正アクセスの中には、少年ジャンプ+の存在を知っていればそちらを利用するという人もいるのではないでしょうか。現状でも漫画ファンの間で人気のサービスですが、不正サイトから読者を奪えるよう、更なる普及が望まれます。

音楽も、漫画と同様ミュージックFMなどの違法アプリが横行していましたが、定額サブスクリプションサービスの登場により大幅に減りました。漫画の世界でも、いつか海賊版が撲滅される日が来ることを願います。

 

参考

2月15日付 読売新聞オンライン「漫画 海賊版サイト、ただ読み被害 なお5069送円…最大手閉鎖も新手が続々」

2021年3月18日 日経X TREND「『少年ジャンプ+』1700万DL突破 ウェブ発人気漫画を生む仕組み」

2019年1月28日 日経X TECH「集英社、『少年ジャンプ』発売と同時に海外へ無料配信」

 

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2020年7月17日「漫画編集がデジタル事業に力を入れる理由」