パートナー選びまで効率重視? 結婚相談所に集まる20代

「結婚」の2文字は、未成年だったころに比べると随分身近になった。

先日中学からの友人たちと飲んでいると、そのうちの1人が言い始めた。

「もしかしたら今の彼女と結婚する可能性あるんだよ、実際、自分の両親だって大学の時に出会ってそのまま結婚したし」

彼女のいない筆者は、「そうは言ってもまだ21歳だしな」と内心思うものの、もう2、3年もすれば周りで結婚し始める人が出てきても全くおかしくない年齢ではある。

そんな自分と同じ20代が人生のパートナーを探す場として、結婚相談所を選ぶ人が増えている。2019年の1~10月に結婚相談所に入会している20代の割合は3.8%だったのに対して、2022年の同じ期間には15.3%に。3年間で約4倍に増えた計算になる。

「連絡をとるために趣味の時間が削られるのは、タイパが悪い」

19日付の日本経済新聞夕刊の記事で紹介された、結婚相談所を利用する27歳女性の言葉だ。ここでも出てくるのが「タイパ(タイムパフォーマンス)」。婚活アプリと違って、対面日時や場所などは相談所が設定してくれるため、相手との腹の探り合いやだらだらとした会話は必要ない。加えて結婚への本気度も高い人が集まりやすく効率が良いと話す。

時間を有効活用したいという気持ちはよくわかる。ただ、人とのコミュニケーションにもタイパを持ち込んで上手くいくものなのだろうか。紙面に紹介されているうんざりしたやりとりというのも、

「今週末はどう?」「ちょっと無理。金曜日なら空いてる」「場所はどのあたりがいいですか?」

たったこれだけである。結婚したいという人が、言葉を選ばずに敢えて言うと、この程度の会話も出来ないで長い結婚生活をうまくやっていけるとは、失礼ながらとても思えない。

また、記事によると婚活アプリから結婚相談所に切り替えた人の3人に1人は、「短期で結果を出したい」と考えているという。タイパを追求するあまり、「結婚することそのもの」が目的になっているような気がしてならない。本来の目的は「よりよい結婚生活を送れるパートナーと出会うこと」ではないのだろうか。

 

「結婚生活で一番大切なものは忍耐である」

ロシアの小説家チェーホフの言葉だ。結婚というのは、きっと異文化交流の最小単位だ。全く違った環境で育った2人が、同じ屋根の下で生活を共にしなければならない。そんな中で必要になるのはまさに「忍耐」や「寛容」の力であって、決して「効率」ではないはずだ。

 

参考記事:

19日付 日本経済新聞夕刊 8面(くらしナビ) 「20代、なぜ結婚相談所へ」