先日、卒業式で着る袴のレンタル展示会に参加しました。筆者の通う大学では、3社が年間を通してキャンパス内で展示会を開いています。当日は学内の一フロアで着付けからヘアアレンジ、撮影までを担ってくれます。
展示会では試着やプラン確認ができ、気に入ればその場で着物を予約できます。
「最近はブーツと袴を合わせる学生さんも多いんですよ」
式服のレンタルや販売を扱う「丸昌」の販売員さんが昨今のトレンドについて教えてくれました。高めのヒールがついた白と黒の編み上げブーツのレンタルを受け付けています。ハイカラさんのようなモダンな格好には一定の支持があるようです。また、髪型では水引や金箔を使ったヘアアレンジの人気が高く、袴だけでなく、髪型でも個性を出す学生が多くいると言います。
各キャンパスでの貸し出し枚数を1着だけに限定した、「IPPIN」という個性の際立つ着物もありました。他人と被りたくないという気持ちに応えた上手な手法だと感じました。
成人式の振袖選びもそうでしたが、特別な1日をどんな格好で迎えようか、どう個性をアピールしようか、そう考えるだけでとてもワクワクする瞬間です。
ただ、出費が付いて回ります。レンタルに加え、当日の着付けやヘアアレンジにレンタルケアの保証がついたパックは、着物や袴のランクに応じて5万5000〜9万9000円の4段階。筆者は、かねてから憧れていた矢羽をモチーフにした矢絣柄の袴に決めました。シンプルなデザインのためか1番下の価格で収まり、思わず安堵しました。
展示会では、スマートフォンで保護者と値段を打ち合わせている学生の姿もちらほらありました。参加学生の名簿を覗くと、短期大学に通う学生もいます。成人式の振袖とダブルでお金が必要なわけで、思わず案じてしまいました。
筆者の周りでもコストを抑えるために学内の展示会で借りずに、ネットで安く購入して当日を迎えようとしている学生もいます。
他大学に通う異性の友人に聞くと、成人式や就活で着用したスーツに、式典に合わせたネクタイで参加するとのことでした。時間も出費もかかりません。これには思わず少し羨ましいという気持ちになりました。
しかし、日本の伝統である着物文化は今後も継承してほしいですし、着物業者にとっては数少ない稼ぎ時でしょう。中には学費を自分で賄い、袴をレンタルするのもままならない学生がいるかもしれません。そういう学生にとっても、着物業者にとっても、Win-Winな関係は築けないか。そうした知恵や工夫が今後は必要になってくるでしょう。
参考記事:
読売新聞 朝刊 埼玉13版 25面 「式典は全市町村20歳」