私たちがウクライナを想うときに

朝日新聞デジタルを眺めていると一際目を引くカラフルな電車の写真がありました。目に眩しい青と黄色のコントラスト。ウクライナカラーにラッピングされた高松琴平電気鉄道(ことでん)です。

平和を願う想いからウクライナの国旗をイメージした電車を走らせていたようですが、先月30日で運転打ち切りを決めたようです。車両点検に入るタイミングでした。

この電車が運行している間に戦争が終わるよう祈っていたようですが、現地ではまだ戦火が続いています。

街を歩くと、ウクライナカラーに出くわすことが多い気がします。今まで国についてよくなかった人も、国旗の色や大統領の名前を言えるようになったかもしれません。しかし、ウクライナ戦争への関心度の低下は否めません。戦争開始直後は定時ニュースのトップでしたが、今では扱われない日もあります。放送の時間や紙面の制限がありますから、仕方がないのかもしれません。

自分の生活をこなしながら、遠い国の人々にどう連帯を示し続けられるか。文化や作品ができることは何か。アートは、日常は、社会問題や政治問題に言及すべきなのか。少し考えてみます。

 

大学生協の書籍部に向かうと、ウクライナ関係の書籍がずらりと並んでいました。研究書や新書をはじめとして、絵本や小説もあります。

私が手に取ったのはウクライナの伝統的な絵本です。現地の人々に共感を示す上で、文化に触れるのはいいことかもしれません。ただウクライナを舞台にしているというだけで、戦争に全く関係のないストーリーの絵本と侵攻を結びつけるのには違和感もあります。作者には、戦争とは関係のない、伝えたいもっと別のメッセージがあったのかもしれませんから。

ウクライナの人々がいま本当に必要としているものは何でしょう。季節が進み、雪深い時期です。発電所が攻撃され、エネルギーが足りていないと聞きます。

これらはとても難しい問題で、私たちにできることはほとんどありません。無力さや矛盾を感じつつも、私が書店員だったら同じように、ウクライナの本を紹介するコーナーを設置するでしょう。

こういうことを考えているだけで少しでも力になっていると思って…、と書いたら、それは逃げでしょうか。

 

朝日新聞デジタル「平和願い駆け抜けた7ヶ月『ウクライナカラー』の電車、運行を終了」https://www.asahi.com/articles/ASQCZ7QD1QCZPTLC00W.html?ref=tw_asahi