アフリカ進出企業 在留邦人の力借りるべき

アフリカに進出する日系企業の数は増えているのに、投資額は減少している。そんな現状が朝日新聞の朝刊で紹介されていました。どうやら日本人の起業が増えているものの、大企業は市場に適応できず撤退が相次いでいるようです。

筆者は3年前ルワンダに渡航して当時の日本大使と歓談する機会をいただきましたが、その際もベンチャーが増えている旨耳にしました。青年海外協力隊としてルワンダで2年間活動したのち、また戻ってきてビジネスを立ち上げる若者が少なくないそうです。2016年7月から19年6月までに同国の日系企業は7社から27社に急増。分野は主に農業やICT、コンサルタント業です。

私は外国語学部スワヒリ語専攻や国際交流団体に所属していたため、ルワンダやタンザニアで起業している人を複数知っています。朝日新聞の「ひと」欄ではタンザニアでパン屋を開業した松浦さんが今年8月に紹介されました。停電や窃盗、詐欺に加え、コロナの苦境も乗り越えて、ビジネスを維持しています。

タンザニアで農業バリューチェーンの構築を支援するWATATU(株)は青年海外協力隊の出身者が2年前に立ち上げた会社です。スワヒリ語スピーチコンテストに出場した際、CEOの方とお会いしました。発音が良くとても流暢に話されていました。様々な苦労に遭いながらも、知恵を振り絞って一生懸命チャレンジする同胞の姿には尊敬の念を禁じ得ません。

一方で、アフリカを市場として捉えている日系大企業は限られています。存在感があるのは、自動車事業を軸にアフリカ部門の売上高が1兆円を突破した豊田通商、世界最大規模のニッケル生産事業「アンバトビー」を手掛ける住友商事、アフリカ11ヶ所に拠点を持つ丸紅、農業機器の世界大手たるクボタぐらい。その他大半は現地市場の情報不足を理由に消極的です。

今は小さい市場で利益も少ないかもしれませんが、2100年には世界人口の4割をアフリカが占めます。日本企業はもっと積極的に進出すべき。大企業は生え抜き社員を活用するだけではなく、度胸と知識、語学力を兼ね備えた在留邦人を水先案内人として雇う方が上手くいくのではないでしょうか。

 

参考資料:

27日付 朝日新聞朝刊(京都13版)4面「アフリカ進出 企業増でも投資減」

ルワンダの首都キガリの風景(2019年9月撮影)