マイナンバーカード 持たなきゃダメか

運転免許証もマイナンバーカードも持っていない筆者。最近、LINEペイを始めようとしたところ、身分証明のところで足止めを食らいました。ほとんどの場面では、学生証などを使ってどうにか済ませていますが、それができるのもあと1年半。そろそろ本人確認ができるものを持っておかなければと思うようになりました。しかし、運転免許を取るには30万ほどの費用がかかることや、教習所に通う必要があるため、無料で発行できるマイナンバーカードが一番合理的だと感じます。

総務省が公開した資料によると、今年10月末時点で人口に対する交付枚数率は51.1%。2015年10月にマイナンバー制度が始まってから、5割に到達するまでに6年を要したということになります。政府は2023年3月末までに、ほぼすべての国民へカードを交付することを目標としており、先月13日には、2024年秋に現在の健康保険証を廃止し、マイナンバーカードを保険証と一体化させることが発表されました。また、運転免許証との一体化も検討され、マイナカードの普及が推し進められています。

なぜマイナンバーカードは伸び悩むのでしょうか。2018年に内閣府が実施した世論調査では「取得する必要性が感じられないから」が57.6%で最も多く、続いて「身分証明書になるものは他にあるから」(42.2%)、「個人情報の漏えいが心配だから」(26.9%)、「紛失や盗難が心配だから」(24.9%)が、取得しない理由として挙げられました。確かに、本人確認のためにカード取得を考えている筆者としても、運転免許を取ってしまえばマイナンバーを取る意味はなくなると感じます。だからこそ、保険証など生活に不可欠なものとの一体化が図られるのだと考えられます。

国民1人1人に番号を割り当て管理する国は日本だけではありません。アメリカや福祉国家として名高いスウェーデン、お隣の韓国でも導入されています。アメリカでは他人の社会保障暗号を使った年金の不正受給などが発生しているものの、こうした事例を踏まえ、日本ではマイナンバーを利用する際の厳格な本人確認の義務付けや、法律上の利用範囲の制限を行っています。

しかしながら、日本政府の推し進める「デジタル」に、なかなか不信感が拭えないのも事実なのではないかと感じます。実際に、コロナ感染者との接触を確認できるスマホアプリ「COCOA」では、利用者の一部に4か月もの間、接触の通知がされないなどの重大な不具合が確認され、国の推奨も虚しく今月11には機能停止が発表されました。

マイナ保険証の検討がされますが、医療現場のシステム導入が進んでいないことにも目を向けなければならないと思います。現状が追い付かないまま、半強制的に議論を前に推し進めようとする政府のスタンスには、好感が持てません。まずはマイナンバー制度への信頼度を高め、行政手続きのさらなる円滑化など本来の目的に則したインセンティブを上げていかなければならないと思います。

 

参考資料:

総務省、「マイナンバーカード交付状況について」

内閣府政府広報室、「マイナンバー制度に関する世論調査」の概要」

 

参考記事:

10月19日付朝日新聞デジタル、「(マイナンバーカード ここが気になる)場当たり的、政府に不信感 NPO法人共同代表・内田聖子さん」