「ドローン」の運用 年内に何が変わる?

産業廃棄物の不法投棄対策にドローンが有効活用されているようです。朝日新聞の記事によると、22の自治体が導入し、成果を上げているとのこと。実際に埼玉県では、ドローンで空撮した画像を警察に提供したことで、不法投棄をした企業役員が逮捕されました。神奈川県では一般観光客が投棄したゴミを探し出すことに役立てています。

ドローンは、自律走行型や遠隔操縦の航空機を総称したもの。我々がよく想像するドローンは複数枚のプロペラの下に小型の機体がぶら下がったような形をしています。最近開発されたもののように感じてしまいますが、意外にも歴史は古く第二次世界大戦中に軍事開発されたことが始まりです。1980年代には日本国内で農薬散布に活用されていた例もあり、よくイメージされる空撮への活用とは異なる使い方をされていました。

歴史のあるドローンですが、日本国内では年内にも大きな転換点を迎える予定です。航空法が改正され、最も難易度の高いレベル4の運行が可能になるためです。有人地帯の上空で、補助者を使わず、自身の視覚の外にあるドローンを飛行させるという技術です。飛行制限が緩和されるなかでもう一つ注目したいのは、202212月からドローン操縦の国家資格ができる点です。民間の資格では従来通りレベル3までの飛行は認められますが、レベル4では国家資格保有者のみが操縦可能です。

自治体での活用で成果をあげているだけでなく、民間の分野でもドローンは躍進しています。市場規模は2021年で前年の25.4% 増の2308億円です。今回の航空法改正を契機として、2027年度には約3.5倍の8000億円規模まで拡大すると予測されています。活用範囲は「医療」「物流」「農業」「エンタメ」「点検」と多岐にわたります。

東京の台場にドローンスクールがオープンするなど、徐々に浸透してきていると感じていました。一時期はドローンが人の集まる場所に墜落するなど危険なイメージも持たれていましたが、国家資格のスタートを契機にルール整備が進んでいくことが期待できます。もちろん、国外で戦争兵器として導入されているという負の側面も忘れてはなりません。できることならば、試験に必要な知識を学ぶ際、そういった趣旨の説明も加えられることを願います。

映像撮影など趣味の範囲で活躍しているイメージがあったドローン。近い将来は仕事の場で「ドローンを操縦できるのですか」と評価され、ときには感謝される日が来るかもしれません。みなさま、ドローン操縦の国家資格取得を目指してみてはいかがでしょうか。

【参考記事】

朝日新聞12日付夕刊1面 産廃監視 ドローンの目