2007年のiPhone、08年のAndroidの端末発売で世界的に広く普及したスマートフォン。すっかり私たちの生活に馴染んでいますが、筆者が初めて手にしたのは高校受験が終わった中学3年生の3月。いよいよ高校生活を迎えようという時でした。同級生たちもその頃にこぞって持ち出した記憶があります。中学1、2年生で手にしていたのは、せいぜいガラパゴス携帯です。
筆者が教育実習で訪れたさいたま市内の公立中学では、中学1年生も今やスマホは1人1台が当たり前となっていました。生徒と交わす日誌には、オンラインゲームをしたことやYouTubeで好きなアーティストの動画を視聴したことが書かれていました。インスタグラムやtiktokなどのSNSも盛んなのだとか。都内のお洒落なカフェや「推し活」の様子を投稿しているそうです。スマホ所有の低年齢化が進んだことで、メディアの情報に触れる時期も早まります。その影響か、驚くことに女子大学生が休日に友人と出かけるようなスポットに、女子中学生たちも出没していることを知りました。
ただ、スマホの持ち込みは学校では禁止。その代わり、タッチパネルとキーボードが分離できるタイプのタブレットを各自が持っています。ICT(情報通信技術)教育です。
毎時間、調べ学習ではタブレットを使いこなしていました。背景画像には、それぞれのお気に入りが。最も驚いたのは、クラス単位のteamsがあることです。主に提出物を管理したり、合唱コンクールに向けた練習動画を共有したりしていました。
「先生、写真撮りましょう」。ある休み時間に生徒たちが声をかけてきました。「スマートフォン使うの禁止だしな…」、そんなことを思っていたら、タブレットを取り出す生徒たち。どうやらカメラ機能で写真を撮ることが許可されているようです。
「撮った写真はteamsで共有しますね」。
大学生になって初めて「teams」という言葉を耳にした筆者にとっては、衝撃の体験でした。
器用にこなすのは、何も生徒たちに留まりません。先生方もICTフル活用です。
黒板にホワイトスクリーンを貼り、プロジェクターで罫線を映し出し、その上から水性のマジックペンで文字を書く国語の授業には驚きました。チョークで文字を書くよりも素早く書き上げることができます。
筆者の担当する美術科でも、指導教諭が絵を描く際の参考にと、タブレットの使用を認めていました。筆者は昔から絵を描くことが好きですが、困ったことも。馬を描こうと思っても、その馬の細かい構造がすぐには浮かびません。前足は?毛並みは?一つひとつを注意深く観察できる環境でないと上手に描けません。この時感じたモヤモヤが、教育現場で改善されていることに、なんだか嬉しさを覚えました。
もちろん、スマホやタブレットに早い時期から触れることは、メリットばかりではありません。しかし、実際に3週間教育現場にいて感じたことは、正しい使い方をすれば情報の活用力が身につき、効率良く教育を進めることができるということです。
しばらくはポジティブに世の中の流れを見守っていきたいと思います。
参考記事:
7月5日 日経電子版 『ギガスクール経済圏動く デジタル教育「世界追い越す」』