国葬の列に高校生も 18~29歳の58%が賛成

日本武道館で27日、安倍晋三元首相の国葬が執り行われました。国内外から多くの要人が招待され、首都高速や式場近くの道路が一時通行止めとなる厳戒態勢でした。筆者は、東京都港区にある新橋駅付近の歩道橋から静まり返った高速道路を見て、規模の大きさを実感しました。

午後1時過ぎ、日比谷公園に向かいました。周辺の道路では交通規制のために多くの警察官が配置されています。国会に面した道路では、国葬に反対する抗議デモが行われていました。参加者は白髪の男性など、年配の人が多数を占めます。木陰で休んでいた男性は「私らは時間があるからね」と話します。

しかし、かつては学生が中心となって抗議運動が行われた時代もありました。23日付の朝日新聞の連載「あの日の『国葬事件』と僕ら~北野高生の回想~」では、吉田茂元首相の国葬に際して、授業を休んで抗議活動をした高校生が紹介されています。

1967年11月1日。吉田茂元首相の国葬が行われた翌朝のことだ。北野高生約20人が授業を無断で欠席し、府の教育委員会前に座り込んだ。府立高校に対し、弔意を示すため、午後から半日休校とする通達を出したことに、抗議するためだ。

 

国葬に反対する集会に参加する人々(国会正門前で27日、筆者撮影)

 

反対集会でマイクを握る社民党党首の福島瑞穂氏

 

若者がデモにあまりいないということは、「国葬に賛成」なのか「反対であるが意思表示をしない」あるいは「そもそも関心がないのか」。どれなのでしょうか。

朝日新聞が9月に実施した世論調査では、国葬の実施について反対が56%、賛成が38%との結果でした。内訳を見てみると、反対の割合が最も高かったのは70歳以上で69%もの人が反対しています。一方、18~29歳の58%が国葬に賛成、反対は29%でした。

国会前の抗議デモを見た後、筆者は国葬がおこなわれている武道館に向けて歩きました。半旗が掲げられた最高裁判所前を通り過ぎます。すると、半蔵門駅近くでスーツや制服、暗い色の服を着た、弔問に訪れる人々が列をなしていました。中には母親と並ぶ女子高生や、複数の友人らと参列する男子高校生もいます。筆者と年齢が近い20代の参列者も散見され、国会前の抗議デモより若年層がずいぶん多い印象です。

日が暮れるまで献花は続き、読売新聞は「会場近くの九段坂公園に設けられた一般向けの献花会場には午後6時の時点で約2万3000人が献花した」と伝えています。筆者は献花を行いませんでしたが、若者の参列者が目立つ献花会場で、世代間の意見の違いも感じることができました。

 

皇居北西側にある千鳥ヶ淵周辺に並ぶ人々。外交官ナンバーの車も数多く見かけた

 

一般献花に並ぶ列の最後尾は地下鉄半蔵門駅近くまで。2時間ほど並んだとのツイートも投稿されていた

 

参考記事:

28日付 読売新聞朝刊(埼玉 13版)1面 「安倍元首相 国葬」

28日付 朝日新聞朝刊(埼玉14版)1面 「賛否の中 安倍氏国葬」

28日付 日本経済新聞朝刊(埼玉 13版)1面 「安倍元首相 国葬」

27日 読売オンライン 「国葬の一般向け献花台、会場近くの九段坂公園に設置…午前10時から午後4時まで」

朝日新聞デジタル 連載「あの日の『国葬事件』と僕ら~北野高生の回想~」

 

参考資料:

朝日新聞 2022年9月定例RDD調査