充実度最低=可哀想ではない 大学3年生の本音

自身の大学生活を振り返ると、コロナ禍での大学生活のスタート、2年間ほとんどフルオンラインでの授業、やっと対面になった3年生では就活ムード一色。こんなはずじゃなかったという気持ちが全くなかったと言えば嘘になる。それだけに「大学3年生 充実度最低」という見出しの記事を見てしまうと、なんだか少し悲しくなる。

大学生生活協同組合連合会が実施した学生アンケートによると、「学生生活が充実している」と答えた割合は1、2年と4~6年は80%以上なのに対して、3年生だけが76.1%と80%に届かなかった。

大学生生活協同組合連合会のアンケートをもとに筆者が作成

キャンパスでの授業の受け方にも違いがあると感じる。筆者が通う中央大学では、2年次以下も参加する授業では、ある程度の人数が固まって楽しそうに話しており、サークルの道具を持っている学生も多い。一方、3年次以上のみが参加する授業は1人受講の学生も多く、随分静かな雰囲気だ。

「サークル・部活に所属したことがない・今後も入らない」と答えた割合も、1、2年と4~6年は20%前後にとどまっているのに対して、3年生のみが33.6%と突出して高い。

大学生生活協同組合連合会のアンケートをもとに筆者が作成

筆者は所属したこと自体はあるもののコロナ禍ということもあり、きちんと活動したことは1度もない。1年生の時はフットサルサークルに参加していたものの、2年生に上がる際、活動していないのにサークル費を徴収すると言われて納得いかずに辞めた。2年生からは将棋部に参加したが、3年生に上がると強制的に幹部にさせられ右も左もわからないのに仕事量だけが増えるので、これもまた納得いかず退部した。記事にも「新入生同然の知識と経験でサークル運営を任されているのに、やる気がないと言われてつらい」と答えた3年生がいたとある。

また、中央大学による2年生以上を対象にした在学生アンケートがある。2020年度は友人との関係に不満があると回答した学生が10.6%だったのに対して、コロナ禍のなか入学した学生が含まれる2021と2022年度では、それぞれ34.1%と22.1%と高い水準で推移している。

中央大学学生アンケートをもとに筆者が作成

大学1年生の授業で教授からこんなことを言われた。「オンラインでリアクションペーパーを集めると、例年よりしっかりした意見を持っている人が多く感じる」。他者とのコミュニケ―ションの場は奪われてしまったが、その代償として自分との対話の時間が増えた。コロナ前には目もくれなかったようなことに興味を持った。普段ならためらうような挑戦も「コロナだしせっかくなら」と一歩を踏み出しやすかった。

もちろん、筆者のようにポジティブには捉えられず休学を選択する友人も周りにはたくさんいたが、それも含めて「コロナだから経験できたこと」といえよう。充実度は他学年より低いかもしれない。こんなはずではなかった、と思っている学生も多いかもしれない。それでも僕たちは決して可哀想ではない。そう胸を張って卒業できるように残りの1年半を過ごしていきたい。

 

参考記事:

14日付 朝日新聞朝刊 29面(社会・総合) 「大学3年生 充実度最低」

 

参考資料:

中央大学、各種アンケート調査(結果)在学生、(2年生以上)アンケート結果

2020年度 中央大学 在学生(2年生以上)学習と学生生活アンケート結果 (chuo-u.ac.jp)

aboutus_overview_evaluation_survey_2021_02.pdf (chuo-u.ac.jp)

aboutus_overview_evaluation_survey_2022_02.pdf (chuo-u.ac.jp)