公共交通 バスであふれる福岡と地元を比べてみた

久しぶりに福岡の中心街天神に行った筆者はバスが2台つながった不思議な乗り物に出会いました。タイヤは計6個で、ドアは3か所、車体にはFukuoka BRTの表記がありました。これは連節バスと呼ばれ、BRTはバス高速輸送システムの略です。全長18メートル、130人乗りで、市街地の渋滞緩和や輸送の効率化、ひいては利用者の増加が期待できます。西日本鉄道が2016年から運行を開始し、現在は天神と博多、国際会議場やマリンメッセがあるウォーターフロント地区を15分間隔で循環しています。

Fukuoka BRT。町中を走っていると非常に目立つ。(7月20日筆者撮影)

福岡に住んでみて感じたことは、公共交通機関のネットワークが張り巡らされていることです。バスや電車の本数や路線が非常に多く、主要機関、中心地までの利便性が非常にいいのです。世界で最も住みやすい25の都市ランキングの上位に入っており、半径2.5キロ圏内に空港と市街地が位置するコンパクトシティと言われています。中心地である天神や博多へのアクセスも非常によく、電車1本、バス1本で人が集まってきます。

天神から博多の駅前までは約2キロですが、バスと地下鉄空港線が使えます。友人は、天神から博多まで地下鉄だと210円であるのに対し、本数や停留所が多いバスは150円。このため、バスを選ぶことが多いようです。一方で電車の利便性も非常によく、天神や博多から乗り換えなしで空港まで行くことができます。

福岡市は「交通」の取り組みに力を入れています。公共交通の利用促進を図るために一日乗車券のサービスやカーシェアリングが推進され、自転車を利用しやすい環境を整えつつあります。利便性だけでなく、「環境にやさしい」交通体系の構築が念頭にあるのでしょう。バス停や鉄道駅から1キロ以上離れた公共交通空白地や坂道が急で不便な地域のためにバスの本格運行を実現させた例もあります。

筆者の地元兵庫県川西市からすれば、ため息の出る話です。こちらは県内でも高齢化率が高く、実家のある大和団地は65歳以上が67%を占めます。最寄り駅である能勢電鉄の畦野駅周辺にスーパーがあり、多くの住民が買い物に利用していますが、車を運転できない高齢者は知り合いや子どもに車で送ってもらうか阪急バスを利用するしかありません。

しかし、駅前の垂れ幕を見てみると「1台29人 大和になくてはならぬ路線バス」という文字が。5年ぐらい前は「WE♥大和バス 1台18人乗らなきゃなくなるよ!」だったことからも、状況は悪化しているようです。高校生の筆者は徒歩か自転車だったため、気に留めていませんでしたが、少し強めの標語にドキッとしました。

1台29人。非常に具体的な数字と共に利用を促す。(8月7日家族撮影)

家のフェンスにも看板がある。あくまでも赤字削減にとどまる。(8月7日家族撮影)

言われてみれば通勤ラッシュの時間以外にバスを見るとガラガラ。多くても高齢者が2、3人いるだけです。これでは目標の29人には到底及びません。時刻表でバスの本数を見てみると1時間に2本程度。本当に必要な利用者がバスを使えなくなる時が来るかもしれません。

畦野駅の時刻表。1時間に1~2本とかなり少ない。(8月7日家族撮影)

バス会社にとっては収益が上がらないところからは撤退したいはず。福岡市のように利用者数が多く、生活の一部としてバスが定着しており、電車との接続もよい環境であれば、BRTのような新たな施策に取り組んだり、大胆な施策を打ち出したりできるでしょう。大和団地の場合は、利用者数がそもそも少なく、利便性を求めるよりも、まずは路線の維持に専念せねばなりません。さらに公共交通機関が十分に発展していないため、「まだ車は手放せない」「買い物にバスはやっぱり不便」との声も聞きます。免許返納を促す前に公共交通の整備が必要でしょう。収益が上がりやすい都市部では公共交通が発達する一方で、公共交通が頼みの綱である地域は利用者が少ないため減少の一途をたどっています。バスが生活基盤である利用者の頼みの足を奪ってほしくはありません。帰省するたびに福岡市との落差の大きさを痛感してしまいます。

 

参考記事:

7日付 朝日新聞朝刊(福岡14版)34面 社会「全国で「コロナ運休」」

参考資料:

町丁別世帯数と町丁別・年齢別人口割合(公表用)令和4年3月31日現在

福岡市 施策の取り組み状況一覧<2020年度分>

福岡市ホームページ 公共交通が不便な地域への対策