イオンは「地域密着型」になるのか

イオンが「脱・総合」への転換として、1店舗につき数億円を投じる大型改装をし、新業態の「イオンスタイルストア」にするそうです。これは、地域の客層や競合店の状況を踏まえながら、店舗や地域ごとに個性を出す取り組みです。これは、スーパー首位のイオンにとってさらに他の競合他社を抑え、集客力を高めることになりそうです。しかし、この「脱・総合」、いわゆる「地域密着型」は、イオンの経営にはよさそうですが、本当に地域のためを思った「地域密着型」なのでしょうか。

これには賛否両論があります。私の大学のある秋田には、大型イオンモールがあり、ほとんど全ての買い物はこのイオンモールで済ませることができます。また、週末はイオンモールで1日を過ごすという家族連れや子供達も多いそうです。これは、すべての買い物を一度で済ませられる便利さと、テーマパークのような楽しさを融合させているとも言えるでしょう。その反面、イオンモールができた地域は、どこも似た様な景色になってしまったと悲しむ声も聞きます。特に、地域を活性化させたいと取り組んでいる人々からすると、どのように他の地域との差別化を図ればいいのか悩むでしょう。また、全国共通の「トップバリュー」製品を売ることで、地域独自の産業や商品の売上を抑えてしまうこともあるでしょう。同日付けの日経新聞の記事では、地方自治体が本社機能を移転することで地方税を減税する動きが広がっているとありました。地方は人口流出を防ぐために様々な取り組みをしていますが、全国どこにでも同じ「イオンモール」という風景や商品があるのならば、他地域との差別化をすることは難しそうです。イオンの「脱・総合」、「地域密着型」は、イオンの経営のためにはなっても、地域活性化のためにはなっていないのではないのでしょうか。スーパー首位のイオンであるのならば、地域のためを考え、地域密着の小型店舗や商店街を支援する活動をすることもできるはずです。

 

参考にした記事:

1月4日付日本経済新聞朝刊1面

「イオン『脱・総合』へ転換」、「本社移転で税優遇20県」