進むリニア建設 岐阜県駅に行ってみた

2014年10月17日、JR東海が申請していた東京―名古屋間のリニア中央新幹線の工事実施計画が、当時の太田明宏国土交通相によって認可されました。東京と名古屋を時速500キロ、40分で結び、将来的には67分で東京―大阪間を移動できる予定です。すべての事業費をJR東海が負担し、その額は5兆円を超えます。

16年12月には名古屋駅新設工事の起工式が開かれ、今も大きな工事が行われています。騒音・振動対策が必要な名古屋駅周辺は、難易度が高い工事であるとの記事も目にしました。また、最近では工事中に発見されたと見られる不発弾の処理で、交通規制がされることもしばしばあるようです。そして、6月上旬には名古屋駅桜通口前のモニュメント「飛翔」の解体工事が始まりました。

 

東京―名古屋間に設置される予定の駅は、東京から順に品川駅、神奈川県駅(仮称)、山梨県駅(仮称)、岐阜県駅(仮称)、名古屋駅の5駅です。あまり注目されていないように感じる、途中の停車駅はどうなのでしょう。6月11日に起工式が行われて本格着工した、リニア岐阜県駅に行ってきました。

バスタ新宿から名鉄バスで5時間、岐阜県中津川市に向かいました。人口は7万5000人。日本百景の1つに選ばれた恵那峡があり、江戸の日本橋と京都の三条大橋を結ぶ中山道の宿場町としても有名です。かつては、中津川と北へ20キロほど進んだ付知町(現:中津川市)を結ぶ北恵那鉄道が通っており、街を散策すると廃線跡も見ることができます。

 

木曽川に架かる北恵那鉄道の橋梁(筆者撮影)

 

リニア岐阜県駅はJR中央本線、中津川駅から1駅となりの美乃坂本駅に建設されます。日中の美乃坂本駅は30分に1本、名古屋と中津川に向かう電車がそれぞれやってきます。駅の南側には小学校と中学校、北側には高校があり、筆者が訪れた午前8時には多くの生徒が通学のために歩いていました。通学路の両脇には工事車両の出入り口があり、作業員の人々が朝の朝礼をしている最中でした。

 

JR中央本線 美乃坂本駅(筆者撮影)

 

駅の北側、南側を行き来するには駅のすぐ隣の踏切を渡る必要があります。この踏切はリニア岐阜県駅の建設工事で廃止されることが検討されているようです。この踏切がなくなると、350m離れた陸橋を渡らなければなりません。通勤通学に限らず、日用品を扱うスーパーも踏切を隔てた線路の南側にあるようです。市民団体が踏切廃止に反対する看板を設置しているのが印象的でした。

 

美乃坂本駅横の踏切(苗木街道踏切)を渡る生徒(午前7時45分、筆者撮影)

 

「昔は一面田んぼだったのよ」。散策をしている途中で出会ったおばあさんが話してくれました。工事車両が来るようになったのは2年ほど前から。説明会が開かれたのち、建設準備が始まったようです。中津川から名古屋駅まで電車で1時間20分、これが20分ほどで行けるようになるとのことです。それでも「もう年だから名古屋に行っても」。そう言っていたのが印象的でした。多い時では200台近いダンプカーが道路を走るといいます。

27年の完成を目指して建設されているリニア中央新幹線。しかし、静岡県では大井川の水を巡り、交渉は難航しています。河川法の権限を一部委託されている静岡県知事の判断が工事に大きく影響するでしょう。そして、建設が進んでいる岐阜県駅周辺でも、踏切廃止を巡って戸惑う人がいるのが現状です。地域住民の生活に寄り添いながら工事を進めていけるのか、今後も建設現場に足を運んでみようと思いました。

 

かつては田んぼが広がっていた美乃坂本駅周辺。今はリニア岐阜県駅の建設が進む(筆者撮影)

建設中のリニア岐阜県駅(筆者撮影)

 

参考記事:

2日付 朝日新聞夕刊(埼玉4版)1面 「(Photo Story)見納めかも」

6月11日 岐阜新聞Web

「リニア新幹線、課題と並走 岐阜県駅起工式、県は安全で着実工事求める」

2014年10月17日 日経新聞電子版

「リニア新幹線、国交相が着工認可 27年開業目指す」

 

参考資料:

中津川市 市の紹介

岐阜県 リニア岐阜県駅周辺整備基本計画