ボートマッチ 選挙のハードルを下げられるか

3年前、18歳になりたての筆者が選挙に行ったのも参院選でした。初めての投票にドキドキしながら母親と候補者を精査したのが印象深いです。票を入れた人が当選しているのを見て、自分の意見が社会に受け入れられたような気がして、とても嬉しかったのを覚えています。

世間では選挙の度に「若者の投票率が低い」と言われます。総務省のデータを見ても、1番直近の令和3年度に行われた衆議院議員選挙の投票率は、10代43.21%、20代36.50%と、全体平均の55.93%を約13〜20ポイント近く下回っています。

投票率が低いからといって若者は何の問題意識も持っていないということにはなりません。それでも、どこか「知識のあまりない自分にはハードルが高い」と選挙との心理的距離を覚えたり、「一から全て自分で調べるのは面倒」と感じたりしている人が多いことは確かだと思います。

そんな人におすすめなのが、新聞社などが運営している「ボートマッチ」という投票補助サービスです。いくつかの質問に答えると考えの近い政党や候補者を知ることができるものです。

 

左上から時計回りに読売新聞、NHK、朝日新聞、毎日新聞

 

試しに全てやって比較してみたいと思います。まずは質問数と回答についてです。読売は20問、朝日は23問、毎日とNHKは25問のアンケート形式で、各質問に対して基本はどの社も5択程度のなかから選んでいきます。そこではほとんど差はありません。ただ、読売、朝日、毎日の新聞社は、質問に簡単な解説がついており、知識不足で判断に困る場合でも選べるように工夫されています。

読売新聞のボートマッチ
この「もっと詳しく知る」を押すと簡単な解説が出る

 

次はアンケートの始め方についてです。読売と毎日はスタートボタンを押すとすぐに質問が始まるのに対して、朝日は一致度を知りたい政党を、NHKは一致度を知りたいテーマを選択する(ここですべての項目にチェックを入れると上記の23問と25問になります)ところから始まる違いがあります。

朝日新聞の初めの選択画面

 

なので初めは読売か毎日のボートマッチを使い自分と意見の近い政党を探してから、朝日やNHKを使って政党やテーマごとの違いを確認してみるのが良いと思います。

最後は結果の表示方法についてです。読売が最もシンプルで各党とのマッチ度が一覧で表示されます。NHKは自分の住む選挙区と比例代表の2つで一致度を確認できます。朝日は政党、質問別、選挙区候補者、比例区候補者の4つで結果が出ますが、このうち選挙区と比例区候補者については有料会員のみ確認できるかたちになっています。毎日は各党との一致度、自身の関心のある3つの争点に絞っての比較、質問ごとに全政党を比較、選挙区候補者との一致度と、この4つの中では最も手厚いです。

もちろん、ボートマッチは作る側の設問の仕方などに左右される一面があり、参考程度にしかならないかもしれません。しかし、選挙との距離を縮める着実な一歩になるでしょう。ここから「じゃあ自分に近い政党の公式ホームページにいってみよう」とか、「ここまで調べたんだからせっかくなら投票に行ってみよう」とか考えるようになり、最後には自分の票を入れた人が当選して自分の力は無力ではないと感じる「成功体験」につながる好循環が生まれたら良いなと期待しています。

 

参考記事:

1日付 朝日新聞朝刊(神奈川13版) 21面(神奈川) 「多世代で議論 問題解決への道」

 

参考資料:

総務省 「国政選挙の年代別投票率の推移について」総務省|国政選挙の年代別投票率の推移について (soumu.go.jp)

 

読売新聞オンライン 「読売ボートマッチ【参院選2022】」 読売新聞ボートマッチ【参院選2022】あなたの考えに近い政党は? (yomiuri.co.jp)

 

朝日新聞デジタル 「参院選2022政策・政党マッチング」 参院選2022 政策・政党マッチング | 朝日新聞デジタル ボートマッチ (asahi.com)

 

毎日新聞ボートマッチ 「えらぼーと2022参院選」 毎日新聞ボートマッチ えらぼーと 2022参院選 (mainichi.jp)

 

NHK 「ボートマッチ参議院選挙2022候補者とのマッチング」 ボートマッチ 参議院選挙2022 候補者とのマッチング NHK