賃金アップは最適なタイミングで

景気が足踏みする中、消費を喚起するために24日安倍首相は最低賃金を1000円まで引き上げることを目指すと発表しました。2015年現在、最低賃金の全国平均は798円。年3%上昇とすると2023年にこの目標を達成することになります。安倍政権は2020年までにGDP600兆円の達成を目標に掲げており、毎年3%の成長が必要となります。しかしバブル崩壊以降GDP成長率が3%を超えた年はほとんどありません。まるで絵に描いた餅のように思えてしまいます。

 

最低賃金を引き上げることは低所得者にとって生活をよりよくさせるものだといえるかもしれません。しかし賃金が引き上げられたとしても皆が恩恵を受けることができるとは思えません。景気が停滞している中で人件費というコストをあげれば会社は経営難に陥ります。人件費を抑えるために雇用関係を解消したり、福利厚生をカットしたりすることも考えられます。業績が上がらない企業に賃金を上げることを求めるのは無責任な政策であると思います。労使の協力が重要になってきますので政府が一方的に目標を掲げることはできません。

消費喚起が目的の政策であるならば低所得者ばかりに影響がある案ではなく日本国民全員が恩恵を受ける案を、格差の是正が目的の政策であるならば景気に沿わず企業に責任を押し付けるのではなく国が社会保障の一環として税金を投入する案を考えるべきではないでしょうか。

 

各紙に指摘はありませんが今までは働く気がなかったが、最低賃金の引き上げによって専業主婦や学生などが働く意思をもち日本の労働力が増えるという異なる視点からいえば景気が上向くことというは考えられるかもしれません。

 

参考記事:

25日付朝日新聞朝刊(東京14版) 7面「最低賃金「1千円目標」」

同日付日本経済新聞朝刊(東京13版) 1面「最低賃金1000円めざす」

同日付読売新聞朝刊(東京13版) 11面「首相「最低賃金1000円目標」」