新聞「都構想の信任ではない」←は?

大阪の街に、前回ダブル選の熱気はありませんでした。それは今回の投票率を見ても明らかです。大阪府知事選は前回ダブル選比7%減の45%、大阪市長選は同10%減の50%。離れてしまった関心は今後、戻って来るのでしょうか。

大阪府知事・大阪市長選挙が22日、投開票されました。最大の争点は5月の住民投票で否決された「大阪都構想」でした。再挑戦を掲げる大阪維新の会と、反対を訴える自民の両党候補による一騎打ち。結果は大阪維新に軍配が上がりました。

松井一郎・大阪府知事の再選に、新人の吉村洋文・大阪市長の誕生。両者とも、自民候補に大差をつけての勝利となりました。それは、有権者による都構想再挑戦への期待の表れであるはずです。

「二重行政解消のため、(中略)新たな設計図を作りたい」(松井氏)

「改革路線を継承し、大阪をさらに前進させたい」(吉村氏)

会見した松井、吉村両氏は都構想への熱意を改めて表明しました。それもそのはず。大阪維新公認候補の2人は、都構想の再挑戦を公約に掲げて選挙戦を戦いました。「都構想をもう1度やるのか、どうか」。それは最大の争点でした。もちろん、他にもあります。経済、教育、文化、福祉。ワンイシューではないにしても、ニュースは都構想を中心にしてこのダブル選を追いかけていました。

しかし、今朝の朝刊。各紙の論調はほとんど同じトーンでした。

「今回の結果を、ゴーサインととらえるのは尚早だ」(朝日)

「気がかりなのは、(中略)都構想が、再び政治テーマになることだ」(読売)

「『都』構想は5月の住民投票では否決されており、何が民意かが見えにくくなった」(日経)

社説から抜粋しました。前後の文脈もほぼ同じ。都構想の信任だけでなく、大阪をどうにかしてほしいとの声が大阪維新を勝利に導いた。だから、都構想の勝利ではない─。いずれも都構想の再挑戦には懐疑的です。

それはどうなんでしょう。たしかに、論争すべき政策はたくさんあります。経済の活性化や地下鉄の民営化、高齢者優遇策に貧困対策など、府政・市政が抱える問題は枚挙にいとまがありません。しかし、有権者は「都構想の是非」を念頭に投票へ行ったはずです。大きな争点を矮小化して横に置くのは、それこそ民意の無視に繋がります。

冒頭の疑問、「離れた関心は、今後戻って来るのか」。それは、偏りのない素直な目線で都構想を見てもらうしかないでしょう。そのためにも、政策を語る際にはまず大局を見つめることが必要です。

 

参考記事:各紙「大阪ダブル選」関連面