ポテチ値上げラッシュ!難局を乗り越えるカルビーと湖池屋の変革

コンビニやスーパー、ドラッグストアで真っ先に向かうのがスナック菓子コーナー。大のポテトチップス好きの筆者は、そのバリエーションの豊富さに魅了されています。先日も、埼玉県久喜市にある全国唯一の湖池屋のアンテナショップ「別邸湖池屋」に足を運びました。近所の店では滅多に目にできないようなフレーバーが盛り沢山です。

蔦屋書店フォレオ菖蒲店の中に位置する「別邸湖池屋」(9日 筆者撮影)

国内のジャガイモの8割は北海道産です。読売新聞オンラインによると、道内の生産地では、昨年7月の平均気温が平年より2.8度高く、葉っぱが枯れてしまいました。そのうえ雨は平年の4分の1しか降らず、記録的な不作が…原料の値上げに伴い、ポテトチップスを扱うスナック菓子メーカーは頭を悩ませています。

ポテトチップスは今、値上げラッシュが起きているのです。

日経電子版によれば、カルビーは主力の『ポテトチップス』などを値上げ。パーム油などの原材料価格や物流費などが上昇しているためだそうです。1月末から順次改定し、店頭価格では7~10%の上昇を見込みます。また、『じゃがりこ』の内容量は2〜5グラム減。湖池屋も同時期から、コンビニ向けの『ポテトチップス のり塩』で容量を減らす実質値上げに踏み切りました。

何とも悲しい出来事ですが、ここ数年で見せるポテトチップス市場の変革には大きな恩恵を受けてきました。これまで健康に悪いジャンクフードとされていたポテトチップスは、そのあり方自体も変わってきたように思います。値上げの話はしばし忘れて、スナック菓子の2大勢力であるカルビーと湖池屋で起きているポテチ改革の今をお届けします。

 

①高まる健康志向

湖池屋『プライドポテト』⇔カルビー『シンポテト』

2017年に発売し、約4か月で2000万袋を販売した湖池屋『プライドポテト』。こちらはあえて食塩を使わず、じゃがいも本来のおいしさを最大限に引き出しています。一方、最近発売されたカルビー『シンポテト』はひまわり油を用いたことによるビタミンEの豊富さが売りです。特徴はくどくない上品な味と軽い食感。店頭の棚に目を向けると、「ノンフライ」や「無添加」を強調した商品も多数ありました。コロナ禍で注目される「健康志向」に合わせているのでしょうか。巣ごもりでついつい食べ過ぎてしまう筆者としてはありがたい限りです。

 

②進化した食感

湖池屋『ハッシュドポテト』⇔カルビー『ポテトデラックス』

湖池屋『ハッシュドポテト』は、細切りのじゃがいもを香ばしく揚げ、四角く固めています。食べるとザクザクという音が。カルビー『ポテトデラックス』は、通常のポテトチップスの3倍の厚さ。まるで金貨のような形で、食べ応えがあります。

 

③大人向けフレーバー

湖池屋『STRONG』⇔カルビー『SUPERPOTATO』

どちらもフレーバーの特徴は同じです。湖池屋は「現代社会を強く生き抜く人たちへ。大人を解放する濃厚な食べ応え」、カルビーは、「家飲み需要の増加を受けて開発した、お酒のつまみに合う濃厚ポテトチップス」といいます。いずれも大人をターゲットとした濃い味付けが特徴です。

 

④SGDsへの配慮

湖池屋『THE麴塩』⇔カルビー『CRAFTCalbee』

これまでのビニールパッケージとは一転。SDGsに配慮したリサイクル紙を使用しています。カルビーの『CRAFTCalbee』には「えらぶのは、やさしいほう。」の文字が。朝日新聞デジタルによると、カルビーは農家に向けて、契約すれば収入が安定するという働きかけを始めています。農家の跡継ぎ問題や、年間300人に及ぶ自殺者が出るほどの経営難の解消に繋げてほしいものです。湖池屋も「サスとテナ」というオリジナルアニメーションを展開。子供がSGDsに理解を持てるような内容となっています。両社とも、包装のイメージ戦略にとどまらないサステナブルな社会の実現を目指す姿勢を打ち出しています。

 

情報を集め、食べ比べることで分かったのは、ここ数年で、これまでの子供のおやつから脱皮しつつあることです。今や中年男性や働く女性たちに購買層が広がり、より高級で健康志向な「高付加価値商品」の展開へ変わりつつあります。

値上げは痛いですが、各社渾身の製品を送り出していることは確かです。これを機にスナック菓子コーナーに足を運んでみてはいかがでしょうか。

近所のドラッグストア (本日筆者撮影)

 

参考資料:

2日付 日本農業新聞「農業者の自殺防止 サインに気付く体制を」

湖池屋公式ホームページ 株式会社湖池屋|総合スナックメーカーのコイケヤ (koikeya.co.jp)

Calbee公式ホームページ カルビー株式会社 (calbee.co.jp)

 

参考記事:

2021年 12月9日 読売新聞オンライン「ジャガイモ高い!」

2日付 日経電子版『「5グラム減らすしかない」 ポテチもハムも実質値上げ』

2日付 日経電子版「カルビーの22年3月期、一転減益に 原材料高が重荷」

7日付 朝日新聞デジタル『ポテトチップスの袋も変えた 「ほぼ農業」なカルビーの気候変動対策』