自然災害はいつ起こるか分からない。そう実感させられた1週間でした。16日にはトンガ火山島の大規模噴火により、太平洋沿岸の広範囲に津波警報・注意報が出されました。
そして22日深夜、大分、宮崎で最大震度5強の揺れを観測しました。朝になるのを待ち、宮崎に勤める先輩と宮崎出身の友人に連絡を取りました。「私は無事だよ」「実家は大丈夫」の一言にほっとすると同時に、自分がいつ心配される側になるか分からないとも感じました。
国土交通省が昨年発表した「国土交通白書」によると、10年前(A)「災害対策をしていない」との答えが52.0%と半数を占めていましたが、最近2、3年(B)では39.5%まで減少しています。そのうち被災を経験した人では、(A)41.1%から(B)23.9%と17.2ポイント減り、被災経験のない人は(A)55.4%から(B)44.4%と11ポイントの減少にとどまりました。つまり被災経験者は、経験のない人に比べて対策をしているということです。
筆者は北九州市に住んでいた2005年に西方沖地震を、福岡市に住んでいた16年には熊本地震を経験しました。とはいえ、いずれも震源地からは離れており、強い揺れを感じただけで直接の被害に遭ってはいません。備えが必要だと頭では分かっていても、防災バッグを用意しただけで満足していました。このままではいけないと、本棚の肥やしになっていた防災パンフレットを開きました。東京都総務局防災管理課が発行し、市役所などで配られているものです。簡単に実践できるものをチェックリストにまとめてみました。普段から意識してできているか確認してみましょう。
<防災チェックリスト>
外出時の災害に備える
①落下物がないか、避難ルートは確保されているか確認し、身を守る場所を探す
②交通機関が止まったときのために歩いて帰るシミュレーションをする
③笛、ライトやカイロなど災害時に必要なものを携帯する
寝ているときの災害に備える
①枕元に倒れやすいものを置かない
②布団の近くにスリッパや靴を置く
③眼鏡や杖など移動に必要なものは枕元に置く
④足元灯や懐中電灯で明かりを確保する
⑤窓ガラスに飛散防止フィルムを貼り、カーテンを閉めガラスの飛散を抑える
お風呂での災害に備える
①着替えやスリッパを脱衣所に置く
②スキンケア用品やアロマキャンドルなどは落ちても割れない素材を選ぶ
③脱衣所のものはできる限り戸棚などにしまう
他にも日頃の片付け、体調管理など防災と結びついていないように思えることが身を守ります。たとえば、避難ルートを閉ざさないためには出入口や廊下に物を置かないことが重要です。また、正常で冷静な判断をするためには適度な睡眠が求められます。
コミュニケーションも防災には欠かせません。写真はパンフレットと同じく市役所で配られているマイ・タイムラインと呼ばれるものです。災害が起こったらどこに何時に避難するか、何をするか予め決め、万が一に備えるのです。17年内閣府が行った「防災に関する世論調査」によると、ここ1、2年で家族や身近な人と災害が起こったらどうするか話し合ったかという質問に対し、1839人のうち57.7%がある、41.7%がないと回答。大地震が起きた際の避難場所を決めているのは38.8%でした。
起きるかどうか分からない災害に備えるのは、面倒に思うかもしれません。しかし被災しない保証はありません。災害への恐怖心を備えに、暮らし方を変えましょう。
参考記事:
22日付朝日新聞朝刊(東京14版)29面「未明の津波避難悩める指示」