まるでアメリカ?横田基地周辺を散策してみた

新宿駅から中央線で、およそ50分。拝島駅で下車して国道16号線沿いを歩くと、高い塀に囲まれた施設が見えてきます。所々に「U.S. AIR FORCE」と書かれた看板や、立ち入り禁止を示す警告文。駐留米軍人の私有車に付与されるYナンバーの車ともすれ違いました。東京都福生市。在日米軍横田基地の所在地です。

関係者以外は基地内に立ち入ることができません。年一回開催されていた「横田基地日米友好祭」も、2020年以降コロナウイルス感染拡大を受けて、開かれていません。とはいえ横田基地周辺はアメリカを感じさせる雰囲気の商店街が広がっています。その名も「福生ベースサイドストリート」。米ドルが使える店もあり、ベーグルやローストビーフサンド、米軍払い下げのミリタリーグッズを買うことができます。

 

横田基地(右)の脇を国道16号線が通っている(10日、筆者撮影)

 

基地には大きく2つの入り口があります。地元の人によると、拝島駅に近い第5ゲートは、主にトラックなどが出入りしているようです。そして、北に1キロ歩くと第2ゲートが見えてきます。基地内で生活する米軍関係者の多くは、こちらを利用しているようです。筆者が基地の周りを歩いた時も、第2ゲートのほうが多くの車が出入りしていました。

かなりの米軍関係者が近くの商店街にいると思って訪れたのですが、すれ違った外国人は3人ほど。米軍関係者かどうかもわかりません。「70~80年代は多くの兵隊さんが歩いていた。急に減ったのは9.11(アメリカ同時多発テロ)以降だね」。第5ゲート近くにある雑貨店の店主が話してくれました。2001年以降は、基地周辺に路上駐車する車も厳しく取り締まるようになったといいます。「70年代より減ったものの、スーパーやコンビニを利用する米軍関係者は今もいる」とも話してくれました。

 

横田基地の脇を通る国道16号線に並ぶアメリカ風の店(10日、筆者撮影)

 

その後、筆者は第2ゲートから福生駅方面に歩きました。駅の近くには「赤線通り」と呼ばれる繁華街があり、英語で書かれた店の看板が目に入ります。営業していた居酒屋の店主は「年末から、また軍人さんは見かけなくなったね。売り上げにも直結するよ」と話していました。福生駅前は外国語表記の看板が目立ちます。地元の人からは、駅前のスーパーで日用品を購入する米軍関係者も多いと聞きました。

 

「赤線通り」と呼ばれる繁華街(10日、筆者撮影)

 

日本各地の在日米軍基地でオミクロン株の集団感染が発生しています。しかし、米軍基地の周りで自営業をしている人からは「米軍関係者は見かけて当たり前」といった雰囲気を感じました。米軍関係者による消費が、地域経済を少なからず後押ししているようです。

日米地位協定により、海外から在日米軍基地に直接入る際には日本側の検疫が適用されません。「小回りの利く形で対応してきている」とする外務省が、基地内そして周辺でのクラスターを防ぐため、どこまで感染防止対策を求められるかが問われています。

 

参考記事:

20日付 朝日新聞朝刊(東京14版)1面 「まん延防止13都県追加」

20日付 読売新聞朝刊(東京14版)1面 「感染最多3万2197人」