「大学の入学金は高い。」そんなイメージはないでしょうか。実際のところ、大学入学金の平均は国立で28.2万、私立で26.4万です。
私立大の入学金の納入期限は、国立大の合格発表の前に設定されていることが一般的です。そのため、受験生の多くは進学先以外であっても、私立大学に滑り止め料として数十万円もの入学金を払わなければなりません。悪く言えば、数十万円という大金をどぶに捨てなければならないということです。
そんな中、大東文化大学は、2012年度の入試から入学金の納付期限を2月下旬から、国公立大学の前期日程の合格発表後である3月上旬に延期できる制度を導入しました。その結果、12年の志願者数1万5949人だったのが今年は2万3834人と、ここ10年で志願者が約5割増えたそうです。
大東文化大学副学長は、「国公立大を志望して残念ながら不合格になった子たちに少しでも多く来てもらうためにはどうすれば良いかを考えた。08年のリーマンショック以来、経済的に厳しい家庭が増えており『入学金の負担が重い』『延納制度があれば良い』という声を聞き、導入を決めた」と話します。
日本政策金融金庫の2019年度「教育費負担の実態調査結果」によると、大学卒業までに子ども一人に必要な教育費用は国立大学で平均4,994,000円、私立文系で平均7,170,000円、私立理系で平均8,217,000円です。このように、大学進学には莫大なお金が必要です。また、去年から今年にかけて、コロナ禍でのオンライン授業実施率の増加に対し、授業費返還を求める著名活動が行われるなど、近年教育コスト見直しの動きが活発化しています。行きたい大学を、入学金のために諦めてしまう、または選択肢を狭めてしまう。これほどもったいないことはありません。教育コスト減、また受験生の大学選びの選択肢を広げるという意味でも、大学側は入学金の納入時期についてもう一度見直すべきなのではないでしょうか。
参考記事:6日付 朝日新聞 (愛知13版 23面) 入学金 納入延期したら志願者増