先日4年間所属していたフィールドホッケー部を引退した。競技名以外は何も知らず、「何やら面白そうなスポーツがあるぞ」と興味本位で入部を決めてから、数多くの魅力に出会った。マネジャーなのでプレイする楽しさは語れないが、見る楽しさは知っている。引退に際し、ホッケーの魅力を語らせていただきたい。
【ホッケーとはどんな競技?】
1チームは、キーパー含め11人、サッカーと同じである。15分×4クォーターの計60分で、パスをつなぎ多く点を決めたチームの勝利だ。10人のフィールドプレイヤーは先が湾曲したスティックでボールをサークルと呼ばれる半円の中まで運び、シュートが決まれば得点となる。野球ボールほどの大きさで、ゴルフボールほどの硬さのホッケーボールは、芝生コートでは時速160キロを越えるスピードで放たれる。その動きを遮り球を奪った敵がいれば瞬時に攻守が切り替わる。キーパーはプロテクター、ヘルメットなどを装備、両手にグローブをはめ、片手にスティックを持ち全身を使ってゴールを死守する。
【ホッケーの魅力は?】
まずはスピード感。先ほど述べたようにフィールド上を転がるボールの時速は驚くほどだ。海外のプロ選手に至っては時速200キロを出すとも言われている。横55m×縦91.4mのコートでも2、3秒でボールが端から端まで移動する。それだけに一度ボールを奪取できれば、がらりと戦局が変わるため片時も目を離せないのだ。攻守の切り替えが素早いチームほど得点でき、失点も抑えられる。最終クォーター残り数十秒で立て続けにシュートが決まり、逆転ということも十分にあり得る。試合終了のブザーが鳴るまでどちらが勝つか分からないドキドキ感は、最後まで観客を飽きさせないのだ。
2つ目は、スティック技術が求められることだ。フィールドプレイヤーは、スティックを介してでないと反則になる。長さ約100cm、重さ約700gのスティックは慣れるまでは重く感じ、思い通りに動いてくれない。どのくらいの力を込めれば、どのような打ち方をすれば、パスが通るのか瞬時に判断できるようになるまで、ひたすら練習あるのみ。試合を重ねるたびに安定度が増すスティック技術は、成長の証しである。
3つ目は、ホッケー特有のセットプレー、PC(ペナルティコーナー)だ。反則された側が有利になるプレイのことで、サッカーでいうフリーキックのようなものだ。下の写真のようにサークルの外にフィールドプレイヤーが配置され、審判の笛を合図に攻撃を始める。攻撃側の人数が多い状態で始まるため、攻め手はいかに正確にシュートを決めるか、守り手はいかにしのぐかがポイントになる。得点のチャンスであり、失点の危機でもあるのだ。観客が固唾を飲んで見守るため、笛が鳴るまで会場中はしんと静まり返る。緊張を絵に描いたような雰囲気をぜひ味わってもらいたい。
最後に、個々の能力が高くても勝てないところが最大の魅力だ。いくら高度な技術を持っていても選手が連携していなければパスは通らない。守備が堅くても点を取らなければ勝てない。11人の選手の頭の中には、試合前に何時間も話し合った戦略が詰まっている。誰がどの相手選手をマークするか、自分が受け取ったボールは誰にパスすればゴールまで運べるか。練りに練った戦法は、1人の力が突出していれば済むという訳ではなく、11人が最大のパフォーマンスをすることでようやく成り立つのだ。チームプレーが点につながったとき、皆さんもホッケーに魅了されること間違いなしだ。
日本では、ホッケーをプレイする機会も観戦する機会も決して多くない。ホッケーに携わる私たちも、知名度の低さという壁に何度もぶつかった。「アイスホッケーと何が違うの?」「本当に面白いの?」。ホッケーがどのようなスポーツか一から説明するのはなかなか骨が折れる。一緒にやってみたい、見てみたいと思わせるのはもっと大変。応援してくれる人、参加してくれる人が増えれば私たちが競技を続ける糧になる。どうかホッケーという魅力あるスポーツがあることだけでも知ってもらいたい。仲間が増えれば強くなれる。マネジャーとして、これほど嬉しいことはない。
↓動画内3分10秒でさくらジャパンのPCがご覧いただけます
gorin.jp 東京2020ホッケー女子予選 日本vs中国
https://www.gorin.jp/video/6265119823001
NHK東京2020オリンピックホッケー見逃し配信
https://sports.nhk.or.jp/olympic/highlights/list/sport/hockey/
日本ホッケー協会「ホッケールール解説」
ホッケー ルール解説|ホッケーとは|ルールと競技規則|JHA 日本ホッケー協会 (hockey.or.jp)
マイホッケー「2分でわかるホッケーの観戦ポイント」
参考記事:
22日付日本経済新聞夕刊(東京1版)9面「女子野球 町盛り上げ」