「あんたは、選挙行ったと?」。東京の大学に通う筆者は、先月末から地元である長崎県に帰省しています。馴染みのお店で店主と話していると、自ずと話題は、昨日投開票が行われた衆院選の話に。帰省の前に、期日前投票を済ませておいたことを話すと「若かとに偉かやん」。コロナ禍で政治への関心が高まり、投票率も上がるのではと考えていましたが、結果的に55.93%と戦後3番目の低さに。前回と比べても2ポイント余り増にとどまりました。長崎県だけで見ると、確定投票率は56.89%で前回から0.4ポイント減。これは戦後2番目の低さとなります。
長崎には4つの小選挙区があり、筆者の地元の長崎市は1区。前職の国民民主党西岡秀子氏が自民の新人で安倍元総理の秘書をしていた初村滝一郎氏などを破り当選しました。その他の2区と3区で自民党候補が勝利、4区でも自民党で元地方創生担当相の北村誠吾氏が接戦を制しました。
今朝の長崎新聞の朝刊を読むと、県内有権者の投票理由をまとめた表が載っていました。県全体で多い順から「政党」が28.2%、「人柄」20.8%、「公約」19.6%、「友人、知人の勧め」が8.2%と続きます。この傾向は長崎だけではないのかもしれませんが、公約を見て投票先を決めている人はあまり多くないと言えます。
地元の友人たちと会った際、「もうすぐ選挙だけど...」何気なく話題を振ってみました。返ってくるのはどれも「政治はよくわからんから」との言葉。すぐに話を逸らされてしまいます。東京よりも地方の方がその意見が強いと感じました。筆者は投開票日の31日、県北部の町にいました。友人の投票について行き、しばらく人々を観察していましたが、ほとんどが高齢者でした。日本の高速道路の西の端がある地です。国会から遠く離れた土地の若者たちには、政治とは全く違う世界で行われているものに見えているのではないでしょうか。自分自身、地元を離れていなかったらそう感じていたと思います。
経済政策がどうだ、安全保障がどうだと言われてもイメージするのは難しい。むしろ堅苦しい言葉に拒絶反応を示してしまいます。政治に関心を持とう、投票に行こうとただ呼びかけても、親しみを持つことはできません。その地域の人々に合ったわかりやすい例と言葉で説明する機会をもっと増やしていく重要性があると思います。
平易な言葉でわかりやすく、地方の人でも親しみやすい例を交えながら、そんな番組や記事が今よりもっと必要なのでは。そう感じました。
参考記事:
11月1日付 朝日新聞オンライン「自公、290議席超す 立憲後退、共闘生かせず 維新躍進、第3党 首相続投 衆院選」
https://digital.asahi.com/articles/DA3S15096016.html
11月1日付 長崎新聞朝刊13面「西岡氏 無党派層取り込む」