2人から教わった「知ること」の大切さ

ベトナムやラオス、カンボジアなどを撮影した写真家、大石芳野さんの写真展が、16日から東京都武蔵野市の市立吉祥寺美術館で開催されています。

ベトナム戦争で使用された枯葉剤の影響から、無眼球で生まれた女の子。ラオス内戦で残された不発弾が爆発し、背中にけがの跡が残る男の子。白黒プリントの写真から、戦争が終わっても凶事に見舞われる、現地の様子を知ることができました。

民主主義と社会主義の対立を背景に、大国から支援を受けた代理戦争が繰り広げられた国々。その被害を受けるのは、何もしていない子どもや生まれる前の胎児であることが写真から伝わってきました。会場におられた大石さんの「戦争は政治の暴力」という言葉にも、重みを感じます。

「まずは何が起きているのか知ることから。それから、何ができるのか、友達と考えて話し合ってごらん」と大石さんが話してくれました。展示されていた写真は遠い場所の話ではありません。自衛隊の海外派遣など、国内の政策と深く関わる問題です。

 

19日、衆院選が公示されました。与党による4年間の政権運営が問われる選挙です。注目を集めるコロナ政策。未曾有のウイルスにどう向き合ってきたのか。筆者の周りの大学生は、多くが2回目のワクチン接種を終えました。一方、繁華街ではシャッターを下ろしたままの店舗も多く、飲食店や関連する事業者にどのような補償をしていくのかが問われています。

安全保障分野においても、防衛力の強化を打ち出す自民党や、日米同盟を基軸としながらも、辺野古基地新設中止を掲げる立憲民主党。他の党もそれぞれに、公約を示しています。

偶然、街頭演説に遭遇しました。思わず足を止めて話を聞いていると、テレビや新聞で見るのと違った印象を受けます。熱烈な支持者だけでなく、通りすがりの人も話を聞いていました。

「右も左も関係なく、まずは知ることからだよ」。最前列で取材をしていた新聞記者が話してくれました。投票日まであと11日。新聞やテレビだけでなく、実際に足を運んで政党を知ろうと思います。

 

 

武蔵野市立吉祥寺美術館前(16日、筆者撮影)

 

参考記事:

16日付 日経新聞朝刊(埼玉12版)1面「日本の年収 30年横ばい」

19日付 朝日新聞夕刊(埼玉4版)1面「衆院選公示 論戦スタート」

20日付 読売新聞朝刊(埼玉13版)6面「米軍 AI遅れ焦り」

参考資料:

武蔵野市 「武蔵野市平和の日条例制定10周年記念事業」大石芳野写真展 瞳の奥に 戦争がある