菅政権を振り返る

すっかり「総理大臣」という肩書きに慣れてしまった。とはいえ、「令和」の2文字を掲げ、翌日の新聞の一面をかっさらっていった2年前の官房長官時代がとても懐かしい。

9月3日、菅義偉首相の突然の退陣表明に驚いた人も多かったのではないだろうか。

読売新聞社が9月4~5日にかけて実施した緊急全国世論調査では菅内閣への支持率が31%なのに対して不支持率は57%。内閣発足後では最悪の結果となった。お世辞にも「勇退」とは言えない形で退任することが決まった菅総理である。1年という短期間で幕を下ろすことになった政権を振り返ってみたい。

長男の総務省接待問題やデジタル庁の発足などもあったが、やはり注目されたのは新型コロナウイルス対策とそのなかで強硬突破で開催された五輪だろう。

コロナ対策について言えば、現に今も延長を繰り返し、7月から今月30日を期限として4度目の緊急事態宣言が出されている。テレビでは、対策分科会の尾身茂会長をはじめ、多くの医師や専門家が、緊急事態宣言の有効性などについて幾度となく政府に提言や警告を重ねてきた。東京オリンピックについても、変異株の脅威と日々増加する新規感染者数を前に世論は揺れに揺れた。

この1年は菅政権の1年であったと同時に、専門家と政治家の対立が著しくもあった。その分かりやすい例としては「Go To キャンペーン」が挙げられるだろう。専門家の数々の提言もむなしく、政治家たちの主張が多く押し通されてしまったように感じる。

だが、全てが愚策ばかりだったのかと言われれば、必ずしもそうではないと筆者は思う。

海外に比べ、スタートこそ遅かったものの、河野太郎大臣の尽力もあり、ワクチン接種の取り組みは評価に値する部分が大きいのではないか。実際に、65歳以上の高齢者のワクチン接種率が7月31日時点で1回目が86.2%、2回目が75.5%に達し、政府が当初掲げていた「希望する全ての高齢者への接種完了」の目標は達成できたという。確かに身の回りでも、筆者の祖母は早々に接種が完了し、友人の祖父母も同様だった。

これに関し、地方と国で多少なりとも対立していたところがあったように感じていたためか、吉村洋文大阪府知事の菅総理のワクチン対策の功績を称えるツイートが印象的であった。

吉村大阪府知事のツイートのスクリーンショット

新型コロナウイルスが次々と変異種に置き換わってしまう以上、絶対的に効果的な対策というのはないだろう。高齢者への感染への危惧が若年層での感染拡大の不安に変化し、今度は若者のワクチン接種が急がれているように、次の首相には、移り変わっていくフェーズやそれに加わる新たな問題に追いつき、対策を講ずる実行力が求められている。

100代目となる新総理に求めたいのはただ一つ。感染を食い止め、立つ鳥跡を濁さずに101代目へとバトンタッチすることだ。

 

参考記事:

10日付朝日新聞朝刊(東京14版)1面「『医療確保できず反省』 首相会見1年で退任へ」

読売新聞オンライン9月5日付「菅内閣の支持率31%、最低を更新…読売世論調査」

朝日新聞デジタル8月2日付「高齢者の接種完了、7月末で75% 首相『目標達成』」