宣言下で東京へ

私は愛知県に住んでいますが、緊急事態宣言下の今、東京にいます。大学院の入学試験のためです。せっかく来たついでに、なかなかゆっくり会えなかった友達の家にも泊まって、楽しいひと時を過ごしています。

土曜の17:00名古屋発、23:00新宿着の高速バスで移動しました。コロナ前、6000円ほどしていた料金は2500円に。お金に困る学生の財布に優しい値段です。埋まっている座席は3分の1ほど。たとえ隣合わせになっても、席の間には分厚い仕切りが備えられていたため、少し顔を向けただけでは隣の様子が見えないつくりになっていました。バス内でもマスク着用は必須、飲食は禁止でした。感染リスクは極めて低そうだと感じました。

新宿に着き、同じバスに乗りあわせた男性が、大荷物を抱えながら女性の元に走り寄っていました。出迎えた恋人のあふれんばかりの笑顔は、マスク越しでも分かります。駆け寄るなり抱き上げた男性の様子を見て、思わずこちらも顔が綻びます。

駅へと向かううちに目に留まったのは屋外の階段で杯を交わす若者たちでした。10組以上が座り込んでいました。中にはリズムゲームに興じる6~7人ほどのグループも。厳戒態勢であると身構えていましたが、やはり首都圏でも緊急事態宣言の効力は落ちてきているのだなと実感させられます。

試験の前日から友達の家に泊まらせてもらっています。せっかく久しぶりに来たのだからと、別の友だちも家に駆けつけてくれました。愛知にいる間、悩み事を抱え込みがちだった私は、自室にこもって考え込む日が続いていました。それだけに、すばらしいリフレッシュになりました。いくら読書をしても、ドラマを見ても、なかなか晴れない気持ちに嫌気がさしていましたが、本当に本当にくだらないことばかりして、思い切り笑っているうちに、前向きな気分に変わってきました。

だらだらとおしゃべりしながら過ごして、お腹がすいたら一緒にご飯の献立を考えたり、抜群に美味しいだし巻き卵を作ったり、深夜にコンビニにアイスを買いに行ったり。今までzoom上でしか会えなかった人と空間を共にして、「この時間すごく好きだな、大切にしたいな」としみじみ思いました。

思えば、もともとコロナ前は東京によく来ていました。多い時は、ボランティアの研修もかねて2月に1回は足を運んでいました。名古屋にも友達がいるからといって、東京の友達と会えない寂しさが埋まるわけではありません。コロナ禍の当初は、友人に会うためだけに大移動をすることに引け目を感じたし、そうする人に対して、自粛すればいいのにとも思ったけれども、いざ来てみると、そこには思った以上の価値を感じています。

政府の対応が遅いから待っていられない、だからもう好きにさせてくれ、というのは違うと思っています。対応が遅れている現状がある以上、できる限り命を守れるような行動をする努力も大事にしたい。しかし、自分がどこまでそれを徹底するのかは、別の問題として考えたい。自分の大事にしたいことをどこまで犠牲にするのか、という個々人の基準は尊重したいと思うのです。その都度、頭の中でその基準と照らし合わせ、行動を決める努力をしていきます。