コーヒー豆値上がり 種類、店によって違う!?

「コーヒーが値上がりしちゃう」。1日1、2杯はおうちコーヒーを楽しむ母が嘆いていました。主産国ブラジルでの天候不順と霜害、それに伴う減産への懸念が主な要因です。来年の収穫量は従来の予想より10~50%減るとされ、国際価格が高騰しています。

UCC上島珈琲、味の素AGF、キーコーヒーは来月以降家庭用コーヒーの出荷価格の見直しに踏み切ります。スーパーなど店頭に並ぶ際の小売価格も2割ほど高くなる見込み。UCCとキーコーヒーは業務用コーヒーについても順次値上げを検討しています。コーヒーを嗜む人は、家でも外でも値上げに頭を抱えるかもしれません。

メーカーが次々と値上げを発表するなか、コーヒー豆を扱っている個人店はどうするのか。自家焙煎珈琲専門店「Rinn Coffee」(八王子市堀之内)に伺いました。

珈琲専門店「Rinn Coffee」(21日筆者撮影)

 

こちらは、品質管理がきちんとなされ、傷みや異物を含む欠点豆が極めて少ないスペシャリティコーヒーを扱うコーヒー店。焙煎する前の生豆を水洗いし、汚れやえぐみを取り除き豆本来の味を引き出します。新鮮な豆を提供するため、必要なときに必要な分だけ焙煎するなどこだわりは尽きません。

仕入れ値に変動があったかを尋ねると、

「モカとブラジル豆の値が微増したくらい。1割高にもいかないほどです」

意外な答えが返ってきました。そもそも豆の価格設定は農園によって異なるそうです。Rinn Coffeeが扱うブラジル豆の農園は、今のところ冷害は起こっていないため大きく変わらないのです。ケニアやコロンビアなど他の産地も同様です。ただエチオピア産のモカに関してはなぜ上がったのか分からないとのこと。

店頭に並ぶコーヒー豆(21日筆者撮影)

 

現在、店頭に並ぶ10種類の豆は、いずれも100gあたり450~500円。消費税が10%になった2019年10月から値上げしていません。「美味しいコーヒーを値段に遠慮せず、がぶがぶと飲んで欲しい」という思いから、上質なコーヒーを他店舗の半分ほどの価格で提供しています。取り寄せている農園に寒波の影響がなかったこと、そして「美味しいものを安く」というこだわりから、今のところ値上げは予定していないそうです。

市場全体で見るとコーヒー豆の価格は上がっています。しかし種類、産地によってはその影響を受けていません。店によっては、お値段据え置きで楽しんでほしいという売り手のこだわりも見られます。消費者がどの品種を楽しむか、どの店を選ぶかによって値上げの影響は変わるようです。

ブラジル豆100gを挽いてもらいました。甘いお菓子と一緒に、たまの贅沢です。値上げをうけ、飲む頻度こそ減るかもしれませんが、味と値段にこだわる1杯を選びたいと思います。コーヒー選びに迷ったときは、足を運ぼうと心に決めました。

 

参考記事:

21日付日本経済新聞朝刊(11版)「粗糖・コーヒー豆2割高」

日経電子版[FT]「ブラジルの天候不順、国際商品相場揺さぶる

参考:

Rinn Coffeeホームページ