東京五輪 運営スタッフの私が感じたこと

 東京オリンピックが8日夜、閉幕しました。新型コロナウイルスの影響で1年間延期され、多くの会場で無観客となるなど、異例の大会でした。とはいえ、アスリートが一生懸命に頑張る姿は、私たちに勇気や感動をもたらしてくれました。

 ただ、大会の運営をめぐり様々な問題が噴出しました。

 例えば、「食品ロス」。大会組織委員会は先月28日の記者会見で、23日の開会式でスタッフやボランティアに用意された弁当など約1万食のうち、4000食分ほどが余ったことを明らかにしました。

 五輪運営スタッフに用意されていたのは、一般的なコンビニサイズの弁当に、おにぎり2個もしくはパン1つ。競技が始まった当初は、弁当がかなり冷めた状態で配られ、温めるものはありませんでした。総菜のハンバーグを割り箸で割って食べようとしたら、箸が折れた人がいたほどです。そのため、弁当を残す人も見受けられました。変化が訪れたのは、国会やメディアで「食品ロス」の問題が取り上げられてから。電子レンジが設置されたうえ、弁当やおにぎり、パンは食べ放題に変わりました。これで残す人が減ったとはいえ、完全に「食品ロス」を無くすことは厳しく、毎日余りが出ました。

 その他、「待遇格差」の問題も多くのメディアで取り上げられました。東京オリンピックを支える運営スタッフには、アルバイトとボランティアが入り混じっており、同じような業務内容であるにも関わらず、格差が生じているというものです。

 実際に、私が担当したのは、選手を会場に誘導する業務。選手の姿が見えると、手で合図を送り、向かうべき方向を示すというものです。ボランティアスタッフは、選手の誘導に加え、オリンピック関係者への英語対応など仕事は様々。アルバイトスタッフに比べて、ボランティアスタッフの方が業務に追われていた場面も多々ありました。現場では、両者の間にわだかまりが生じるのを防ぐため、呼び名は両者とも「スタッフ」で統一されていました。

 東京パラリンピック開幕まで、残り数日となりました。全ての課題解決は難しいかもしれません。ただ、東京オリンピックで生じた「食品ロス」は苦い体験があればこそ、事前に対策を講じておくことは可能であるはずです。そこに注目しながら、パラリンピック観戦を楽しみたいと思います。

 

参考記事

朝日新聞、読売新聞、日本経済新聞 東京五輪 関連記事