自分なりの幸せって、何だろう。葬儀の多様化から学ぶ

読売新聞の「安心の設計」、備える終活のコーナーに興味深い記事が掲載されていました。100人いれば葬儀は100通り。形にこだわりすぎない」。この小見出しに目が留まりました。「葬儀の多様化」を取り上げたものです。

近年、『終活』という言葉が流行し、自分はどんな葬儀を希望するかを積極的に考える動きが見られます。私の親戚のおばさんも「死んだらこの骨壷に骨を入れるつもりだわ!」と豪快な笑いとともに話していました。聞く側としては「死んだ後の話なんてまだまだしないでほしい。長生きしてほしい」としんみりしてしまいます。ですが、それと同時に葬儀に関する要望を具体的に話すシニアの方たちを見ていると、「自分はどうありたいか、どんなことに喜びを感じるか」といったことを考え、話すことで、『自分なりの幸せ』とは何かという問題に向き合っているように感じます。

葬儀の種類も様々です。記事では、以下のように分類しています。友人や会社関係者、ご近所さんまで誰でも参列できる従来型の一般葬。参列は家族や親族らに限られた家族葬。通夜をせず、告別式のみの一日葬。通夜も告別式もせずに火葬のみで済ませる直葬。経済状況や個々の事情に合わせて選択することが可能です。近年、都内での一般葬の実施率が22%程度にとどまっているということは驚きでした。葬儀の多様化はこれにとどまりません。記事内では、花嫁姿をどうしても見せたいという理由から、ウェディングドレスで参列した遺族がいたと紹介されています。最後には、「非常識や不謹慎に見えることでも、本人や遺族の希望であれば、形にこだわらず、葬儀社に相談すべきだ」と、NPO法人全国葬送支援協議会事務局長の下川正倫さんも述べています。

冠婚葬祭の『婚』にも多様化の種を見ることが出来ます。ブライダル業界の公式サイトを見て回ると「⒈5次会型ウエディング」「ジミ婚」「ナシ婚」「フォトウェディング」など様々な言葉が並びます。順に説明をすると、⒈5次会型ウエディングは披露宴と二次会の中間をイメージした会食のようで、主に親しい友人を呼ぶ形式だそうです。ジミ婚は派手な演出を加えずに親しい人だけのこじんまりした結婚式を指します。ナシ婚は挙式なしで役所への届出で済ませます。フォトウェディングは写真撮影のみのようで、SNS時代を感じさせるものです。SNSではピンク色のドレスや茶色いウェディングドレス姿の写真を投稿している方も多く、ここからも『多様化』『個性』を感じることができます。

冠婚葬祭でも「多様性」は大きな存在感を示しています。人の数だけ事情や思いがある。冒頭にもある通り、100人いれば100通りの選択があっていいのです。もちろん、従来型の葬儀、結婚式だって選択肢の一つであるべきです。これまでの定番がなくなってしまっては多様性ではありません。

私たちは、自由に選べる時代の真っ只中にいます。その時、価値判断の大きな軸は『自分にとっての幸せは何か』ではないでしょうか。それは、自分が好きかどうかでも、親が喜ぶかどうかといった他人のための動機でも構いません。決めたことで満足感が得られるのなら。周りから見てどう見えているか、正しくできているか、そのような心配で縛られて身動きが取れなくなったら一度「冠婚葬祭の多様性」について考えてみることをオススメしたいです。気張らず、自分なりの希望を叶えている人々の姿が思わぬヒントをくれるかもしれません。

 

参考記事: 10日付 読売新聞朝刊 東京12版 25面 「備える終活⑤ 希望する葬儀 具体化し準備」

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