ユニクロとウイグル人権問題 消費者の私たちにできることとは

 

先月、新聞記者の先輩とご飯に行った時のことです。「こんな取材をしたよ」と記事を紹介してくれました。カゴメが中国の新疆ウイグル自治区で生産されたトマト加工品を製品に使うのをやめるというものです。読み進むと、今回の使用中止にはウイグル人権問題に配慮していると書かれてありました。カゴメは、工場や畑を定期訪問しており、これまで使用してきたトマトも「人権侵害の問題がある環境下でつくられたものではないことを確認している」としつつ、他の国の輸入で補えるため取引を停止するそうです。

本日のあらたにすでは、人権問題に関してカゴメやユニクロの報道を参考にしながら私たち消費者には何が出来るのか考えたいと思います。

先日の話題に話を戻します。先輩の話を聞きながら感じたのは、食と人権問題は関係がないようで繋がっているということです。筆者は恥ずかしながらカゴメが新疆ウイグル自治区のトマト加工品を使用していることを知りませんでした。ニュースを通して自治区の現状は分かっているように思っていたのですが、無知でした。先週の土曜日ハンバーグを作るときに使ったケチャップも、もしかしたら新疆のトマト加工品が含まれているかもしれない。そう思うと他人事のように思えませんでした。

今月になってからフランス検察当局がユニクロを展開する「ファーストリテイリング」など4社の捜査を開始したとのニュースが入ってきました。これも新疆ウイグル自治区での強制労働問題と関係があるようです。ユニクロと言ったら、程よい値段で良質な服を購入できるブランドイメージがあり、最近ではYouTuberが購入品紹介の動画で紹介しているのをよく見かけます。日本人にとって親しみのあるブランドへの捜査には、驚きを隠しきれませんでした。

ファーストリテイリングは2日、「ユニクロが製品の生産を委託する縫製工場で新疆ウイグル自治区に立地するものはなく、ユニクロ製品向けの生地や糸を供給する工場で、同地区に立地するものもない。素材も、生産過程で人権や労働環境が適正に守られていることが確認されたコットンのみを使用している」とのコメントを出しており、今後の動向に目が離せません。

日経の記事によると、欧米では、企業に取引先の人権侵害行為も含めて対応する責任を求める法令の整備が進んでいるそうです。ひるがえって日本では、「取引先などで起きている人権問題まで対応する必要がある」といった認識はあまり広がっておらず、日経が6月に実施した国内主要企業への「社長100人アンケート」では、人権問題に関し間接的な取引先まで調査・監視している企業は12%にとどまりました。

日本の企業で人権問題に対応すべきという認識が広まっていないなか、消費者である私たちにできることはあるのでしょうか。

筆者は、二つあると思います。一つ目、企業の人権問題への対処に目を光らせ、場合によっては購入を再検討すること。それからもう一つは、大学生ならではの意見ですが、就活の際、女性の働きやすさや育休取得率、ダイバーシティの推進具合などと同様に、人権問題への対応も判断材料とすることです。

企業だから自分には関係ないと切り捨てるのではなく、これからの社会は自分たちが変えていかなくてはいけないという意識を持ち、関わりを持っていけたら。この記事を書きながら、そう思いました。

 

参考記事:

7月3日日本経済新聞デジタル版「企業の人権対応、各国が法令強化 仏でファストリなど捜査ウイグル問題など、日本勢は認識に遅れ

7月3日朝日新聞デジタル版「ウイグル問題で捜査、不買運動で業績打撃…アパレル難局

4月13日日本経済新聞デジタル版「カゴメ、新疆産トマト使わず ウイグル人権問題に配慮

 

参考資料:

カゴメホームページ