「#教師のバトン」現場の声は・・・

「部活をしたくて教員になったわけじゃない」。こんな声が文部科学省の「#教師のバトンプロジェクト」に溢れています。現場の先生たちに教師の魅力をS N Sで発信してもらおうと始まったものの、当初の思惑とは裏腹に過重労働や部活動の負担を訴える叫びが際立っています。

 

これらを報じた記事を読んで、他人事ではいられませんでした。父が中学校で教員をしているからです。確かに、昔から夜遅くに帰ってきたり、家で仕事をしていたり。休日も部活動の練習や大会のために出かけていく姿を見て、大変そうだなと感じていました。労働環境について悲鳴のような声がこれだけ上がっていると、息子としても心配になります。一方で、仕事帰りに疲れた様子だったことはよくあったものの、父が「#教師のバトン」のツイートのようなことを言っているのを耳にした事はありません。実際に現場の先生はどのように感じているのか疑問に思い、父とその同僚の先生六人に話を聞きました。

 

部活動の負担についてどのように感じているか。父は「自分は部活の顧問をしたくて、教師になった」と話します。休日の部活動でも楽しんでやっているそうです。ただ、「自分のように部活の指導をやりたくて先生になったわけではない先生や経験のない競技の顧問をしなければいけない先生は辛いかも」と話していました。話を聞いた先生の中には「これまでスポーツの経験がないため、運動部の顧問は負担に感じていた」という人も。

 

部活動の負担は、単に休みの有無だけではないこともわかりました。ある先生は以前勤めていた学校で受け持った部が全国大会を目指すような実力だったそうです。生徒たちは強い思いややる気を持っており、保護者も同様に力が入っていたといいます。自分が経験した事がある競技であったため顧問になったものの、研修や他の業務とのバランスの難しさや、「それだけのチームを指導できるのか。結果を出さないといけない」というプレッシャーがあったとそうです。

 

ただ、話を聞いた先生たちが「#教師のバトンプロジェクト」に上がっている声のように、部活動に負担を感じているばかりかというと全くそうではありませんでした。先程の先生も最初はプレッシャーだったが、一生懸命に練習する生徒を見て段々と楽しくなり、土日が練習漬けでも苦ではなかったといいます。印象的だったのが「部活の顧問をしていて、悪いことはない」という言葉でした。生徒指導など色々な面から生徒たちを見る事ができ、全てが繋がっていると感じたそうです。

 

もちろん、S N Sでの訴えは深刻です。厳しい労働環境が知られるようになって、教員志望者の減少に歯止めがかからなくなっています。一方で、辛くてしんどいだけの仕事ではないというのも事実です。話を聞いた先生たちの答えで共通していたのが、「子供たちを教えるのは、楽しいし、成長を見られる事が嬉しい」という事でした。やりがいはお金には代えられないのだといいます。このような先生がいる環境で育ってきたことを幸せに感じました。辛さを訴えるツイートをしている人たちも、子供たちのためにという強い気持ちは変わらないはずです。存分に力を発揮できるように、負担を減らし、働きやすい環境になっていって欲しいと思います。