結愛ちゃんの悲劇を繰り返さないために

「児童虐待」と聞くと必ず脳裏をよぎる出来事があります。2018年3月、東京都目黒区に住む船戸結愛(ゆあ)ちゃん5歳が両親から虐待を受け、亡くなった事件です。結愛ちゃんは両親から日常的に暴行を受けていたと見られており、見つかった時には全身170カ所の傷を負っており、体重はわずか12.2キロでした。

そして、何よりも私の心に残っているのが、結愛ちゃんが両親に向けて書いた手紙です。

もうおねがい ゆるして ゆるしてください おねがいします

ほんとうにもう おなじことはしません ゆるして

きのうまでぜんぜんできてなかったこと これまでまいにちやってきたことを なおします これまでどんだけあほみたいにあそんだか あそぶってあほみたいだからやめる

もうぜったいぜったい やらないからね ぜったい やくそくします

この手紙の内容に強く衝撃を受けたことを覚えています。5歳の女の子が書くような内容とは思えません。5歳の女の子が反省文など書くでしょうか。

17日付けの日本経済新聞で、子供への体罰が取り上げられていました。厚生労働省の調査によると、18歳以下の子供を持つ養育者のうち、半年以内にしつけという名で子供に体罰を与えたと答えた人が3割を超えていることが分かりました。また、「しつけに周囲のプレッシャーを感じる」「子どもの言動にイライラする」など、日常的に精神的なストレスを感じている人に体罰の頻度が高いことが明らかになりました。

「子ども=かわいい」。これは紛れもない事実であると思います。しかし、育てる上で、かわいいというだけでは済まない場面が数多くあります。子育てが大変すぎて自分の子どもをかわいいと思えない、子どもの寝ている姿が一番かわいいと思う、というような意見も聞きます。

結ぶに愛と書いて結愛ちゃん。名前には「愛」という漢字が入っています。最初は結愛ちゃんのことを愛情いっぱいに育てようと思っていたはずです。しかし、結果としてこのような残虐な事件が起きてしまいました。体罰や虐待は決してしつけではありません。体罰、虐待は何も生み出しません。また、それらは、子どもの心に深い傷を与え、最悪の場合、罪もない子どもの命が奪われることに繋がりかねます。

しつけは親の、子どもに対する愛だと思います。しかし、行き過ぎれば愛とは呼べません。親から子どもへ、愛を伝える手段はたくさんあります。その手段が、体罰や虐待にならないようになることを願うばかりです。

結愛ちゃんの悲劇が繰り返されてはなりません。

 

参考記事:

17日付 日本経済新聞夕刊(愛知4版) 9面「子に体罰」親の3割超