企業のテレワーク実施状況、果たして公表すべき?

 

西村経済再生相が企業のテレワーク実施状況を政府のホームページで公表すると明らかにしたことを、昨夜、ニュースサイトで知りました。記事の続きでは民間の就活支援サイトにもこのデータを提供し、就職活動中の学生や転職者の会社選びの参考にしてもらうとも書いてありました。

日本生産性本部が、新型コロナウイルス流行下での働き方や意識について2020年5月から定期的に実施している調査で(中略)直近の21年4月調査(12~13日)では、テレワークの実施率は1月調査の 22.0%から2.8ポイント減の19.2%だった。最初の緊急事態宣言の発出されていた期間を含む20年5月のテレワーク率は3割超だったが、20年7月調査以降、2割前後で低位安定している。(nippon.comより引用)

確かに東京で3度の緊急事態宣言を経験した筆者から見ても、電車に乗っていると心なしか乗車率が高くなったようにと感じます。最初の宣言と比べて、在宅勤務が減ったという調査結果も納得できます。しかし、いくら推奨するためといって実施状況を公表するのはいかがなものでしょうか。

筆者には見せしめのように思えてなりません。業界によって、オンラインでも多くが対応できる会社、対面でないとやれない会社の比率はまちまちのはずです。それを数字だけで、テレワークをしている企業、していない企業と分けてしまうのは違うと思います。もし推進したいなら、まずやるべきは「なぜ実施できていない現状があるのか」を調査することでしょう。

また同じ理由から、就活支援サイトに公表することもやめるべきだと考えます。コロナ禍によりインターンシップに参加するのが難しかったり、志望先がどういった業務をしているのか詳しく分からなかったりしています。その中でテレワークの数値だけ公表すれば、その数字が独り歩きしてしまうように思えてなりません。

政府には企業を一緒くたに語るのではなく、業種や業務内容を考慮したうえで公表に踏み出してほしいと願います。

 

参考記事:

5月12日読売新聞オンライン「企業のテレワーク実施状況、政府HPで公表へ…就職支援サイトにも提供

参考資料:

Nippon.com「テレワークの普及、2割で頭打ち―日本生産性本部調査 : 通信環境や自宅の仕事スペースに課題