【異議あり】新学期の授業方針 全面オンライン?

気温は徐々に上がり、桜の蕾は膨らみ始め、春が近づいています。3月上旬といえば、国公立大学の前期試験の合格発表。筆者の通う大阪大は、昨日がその日でした。どんな人が門をくぐってきてくれるのか見当つきませんが、コロナ禍の苦労を乗り越えて合格を勝ち取った全員におめでとう!と伝えたい気分です。

新学期に期待を膨らませるのは、新入生だけではないでしょう。まだ見ぬキャンパスライフに夢を描く二年生。学業や課外活動で一花咲かせようと意気込む三年生や四年生。どの学年であっても、心機一転、明るい気持ちで新年度を迎えようと考える学生は多いと思います。しかし、そのような希望を打ち砕く出来事が、大学で起きました。基礎工学部・基礎工学研究科が「新学期の授業は原則オンライン方式で実施する」と発表したのです。

「アホちゃうか!」私は声を大にして言いたい。なぜ対面授業を全面的に再開できないのか。大体、講義の大半は、教授の話を黙って聞くだけです。学生が頻繁に発言したり、議論したりすることもたまにありますが、密集を避けてマスクさえ着用していれば、コロナは回避可能。「3密」などという訳の分からない言葉が流行しているものの、感染リスクを増大させるのは「マスクを外して会話すること」「家族以外と会食すること」この二点に尽きます。このような場面に発展しうる部活やサークルは、部分的な規制やルールを課すべきですが、元から安全な授業をオンライン化したところで、感染抑止効果はありません。

実際、昨秋から専攻語授業の大半を対面形式で再開させた外国語学部では、授業を起点とするクラスターは一度も発生しませんでした。教室に座席数の3〜4割くらいしか受講生がおらず、マスク着用を徹底させた場合は、感染リスクが極めて低いことが証明されたのです。

都市圏の大規模私大が次々と方針を転換させるなかで、流れに逆行する基礎工学部の決定。理解に苦しみます。しかも、対面授業再開に消極的な姿勢をいち早く公表すると受験生が減ることを見越して、わざと判断を遅らせる。受験生の努力がついに報われるという合格発表日に、原則オンラインの方針を発表するという所業は言語道断。受験生を愚弄するにも程があります。入学予定者は、今は合格の喜びに満ち溢れ、不満など感じないかもしれませんが、後で現実に直面して何を思うのでしょうか。

念のため明記しておきますが、人命を重視することは当然重要です。大学生であろうとなかろうと、感染拡大を広げるような行動は厳に慎むべきです。ただ、無闇に自粛策を乱発するのではなく、リスクの高い活動のみをピンポイントで規制し、その他の活動は平常運転に戻すべきだと筆者は考えます。今一度、授業方針を再考してもらえることを願います。

 

参考記事:

9日付 日経新聞朝刊(東京13版)3面「世界の大学 対面再開探る」

大阪大学旧箕面キャンパスの校門