JリーグのVAR導入 それでもモヤモヤは晴れない?

2月26日、ついにJリーグが開幕しました。新型コロナウイルスの影響が色濃く残るなかで、今年も異例のシーズンになります。また、本格的に導入されるVAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)が注目を浴びています。VARとはピッチ外で試合の映像を見ながら、主審と副審をサポートする審判員のことです。あくまでも主審の最終決定がすべてで、重大な事象のみに介入できるシステムです。

どのような場面で使用されるのでしょうか。対象は大きく分けると「はっきりとした明白な間違い」、「見逃された重大な事象」の2つです。得点、ペナルティーキック、退場、警告・退場の人間違い、悪質な行為などの有無が挙げられます。しかし、VARですべての判定が正確になるわけではありません。

ビデオ・オペレーション・ルームの様子/JFA公式HPよりスクリーンショットで撮影

国際大会では定番になりつつあるVAR。特にアジアでは中東諸国をひいきする「中東の笛」、中国や韓国からの過度なタックルなどが問題視されてきました。しかし、VAR制度の悪用とも思えるような疑惑の判定が、未だに見られます。

2020年1月16日、東京五輪のアジア最終予選を兼ねたU―23アジア選手権でのカタール戦。前半終了間際で田中碧選手のタックルが悪質な接触行為として、一発レッドカードを宣告されました。相手の足ではなくボールに足を出し、スパイクの裏も見せていないので、レッドカードは厳しすぎる判定でした。他にもカタールを優勢にするような場面が見られ、一部の海外メディアも報道するまで加熱しました。

同年12月14日、AFCチャンピオンズリーグの準々決勝。ヴィッセル神戸と蔚山現代(韓国)の試合でも事件が起きました。後半30分の追加点がVARのチェックで取り消し。得点に絡んではいるものの、敵陣でボールを奪った場面まで振り返り、不可解な判定が下されました。試合後、日本サッカー協会の田嶋会長と神戸の三木谷会長は、アジアサッカー連盟に抗議文を提出しました。しかし、その後の進展はなく、報道もありません。

積極的なVARの導入には賛同しますが、結局は審判の力量に委ねられます。また、判定に1分ほどの時間を有します。サッカーにとっての1分は、劇的な勝利を収めるのに十分な時間です。試合の流れを止めてまで確認するのであれば、なぜこのような判定を下したのかを選手とサポーターに解説する義務があると思います。メディアも審判への批判はしますが、判定に関するインタビューはあまり見かけません。

Jリーグでも疑惑の判定はあります。18年のロシアワールドカップのように、VARによって誤審を大きく減らすことができるのでしょうか。これからに注目です。

参考記事:

朝日、読売、日本経済新聞各社朝刊 Jリーグ関連記事

参考資料:

JFA 日本サッカー協会公式HP 「VAR|ルールを知ろう!